Microsoft最高経営責任者(CEO)のSteve Ballmerは米国時間16日に、新しい有料検索サービスを発表すると見られている。同サービスはいずれ、競合するGoogleと肩を並べ、さらに提携相手のYahooが提供する広告検索を追い抜くことになる。
既報の通り、Microsoftのインターネットグループは、検索結果と広告付きテキストメッセージとを組み合わせたペイ・パー・クリック型広告検索システムを開発中だ。現在は、Yahooの子会社であるOverture ServicesがMSNにリスティング広告を提供しており、この検索リンクがMSNの販売する「注目サイト」を補完している。
しかし、「adCenter」と呼ばれるMSNの新サービスが開始されれば、Overtureの広告はいずれ不要となり、MSN自身が莫大な広告収入源を手にすることになる(現在Microsoftは広告主から集めた手数料をOvertureと分け合っている)。adCenterサービスは今後数カ月以内にシンガポールとフランスで開始される予定だ。
MSNの広報担当、Adam Sohnによると、Microsoftはまだ、米国でのadCenterサービスの開始予定日を決めていないが、同広告ネットワークを世界規模で運営する計画だという。
「(adCenterは)検索を丸椅子に例えると、その3本目の脚といえる」とSohnは語る。「最初に、われわれはアルゴリズム検索を発表した。次にデスクトップ検索を発表したが、これはまだベータ段階だ。そして今回は、広告プラットフォームだ」(Sohn)
MicrosoftはこのadCenterで、GoogleとYahooの独占状態にある数十億ドル規模の広告検索市場に参入する。市場調査会社Jupiter Researchの予測によると、検索エンジン市場の2005年の総売上は50億ドルに達し、向こう4年以内におよそ90億ドルに達するという。Microsoftの市場シェアは、業界最大手のYahooとGoogleに比べて小さいが、同社は貪欲にシェア拡大を狙っている。
市場調査会社のComScore qSearchによると、オンライン検索市場における上位3社の市場シェアは、Googleが35.1%、次いでYahooが31.8%、そしてMSNは16%となっている。検索数を広告市場の割合に換算すると、MSNの検索事業の年間売上は、Overture への分配分がなくなるため、およそ16億ドルとなる。
MSNの製品はまだ完成度が高くないとSohnは語るが、検索エンジンに詳しい専門家は、いずれ競合製品を脅かす存在になり得ると見ている。インターネット上で行なわれる検索の数は限られており、それ故、検索関連広告が表示される機会も限定されることを考えると、MSNはいずれ、YahooとGoogleから広告費を奪うというのが専門家らの見方だ。ComScore qSearchのデータによると、米国では1月だけで、およそ49億回の検索が行なわれたという。
「(MSNの新しい広告プラットフォームが登場したからといって)検索の巨大なパイがさらに大きくなるわけではない」と語るのは、検索業界の専門家のDanny Sullivanだ。「現在起こっているのは、Yahooが握っていた大きなシェアの一部がMSNに奪われ、小さくなりつつあるということだ。」
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