Googleのブラウザ用ツールバーに追加された、ウェブページにハイパーリンクを挿入する機能が、各方面から非難を浴びている。この強力なツールを用いることで、同社が思い通りの場所にトラフィックを誘導できてしまうから、というのがその理由だ。
このツールバーをMicrosoftのInternet Explorerにインストールし、AutoLinkボタンをクリックすると、ウェブページ内に書かれた住所からGoogleの地図サービスへいきなりリンクが張られてしまう。また、出版社が書籍に付すISBNからはAmazon.comのページにリンクが張られてしまうため、BarnesandNoble.comなどの競合サイトへ買い物客が行かなくなってしまう可能性もある。さらに、車両登録番号はCarfax.comへ、荷物番号は送り主のウェブサイトへ自動的にリンクが張られるようになっている。
Googleの検索エンジンは世界で最も幅広く利用されているが、同社ではAutoLink機能によってウェブユーザーの行き先をコントロールする意図はないとしている。同社関係者は米国時間18日、ユーザーはYahooやMapQuestをはじめとする複数の地図情報サービスを選択することができ、将来的には書店サイトも複数登録されるようになると語った。
それにもかかわらず、AutoLinkが勝手にウェブページを改ざんし、Googleが適当だと判断したページにユーザーを誘導してしまうとする非難の声も一部で上がっている。Microsoftも数年前、スマートタグ機能によって同じアプローチをとろうとしたことあったが、最終的には信頼性と商標の問題からこれを廃止したことがある。
「Googleがウェブに対して果たす役割は、MicrosoftがPCに対して果たす役割と同じである。同社の検索エンジンは、だれもが検索に利用するOSのようなものだ。どちらも消費者のマインドシェアを同じように独占している・・・数百万人がGoogle Toolbarを利用している。Microsoftには許さなれかったことを、Googleだけに認めるべきではない」と、Micropersuasionというブログを公開するSteve Rubelは、米国時間16日に記している。
この技術は、デスクトップの所有権をめぐって長い間続いてきた法律論争を蒸し返すものだ。その論争とは、ウェブページの外観や表示方法を変えるソフトウェアをインストールする権利は消費者にあるのだろうか、それともコンテンツの表示方法に関する最終的な判断と実権はウェブ運営者の方にあるのだろうか、というものだ。
この論争はアドウェア業界の訴訟の焦点となっている。多くのウェブサイト運営者やeコマース企業が、Claria(旧Gator)やWhenUなどのアプリケーションメーカーを提訴している。これらのメーカーは、あるサイト内で競合するオンライン業者を宣伝するポップアップ表示ソフトを開発している。裁判に至らず和解する訴訟が多いが、なかには陪審員の評決が分かれるケースもいくつか見られ。判事もまた著作権所有者有利の判断を下す場合と、技術側有利の判断を下す場合に分かれている。
Microsoftの元最高プライバシー問題責任者で、現在はCorporate Privacy Groupで最高経営責任者を務めるRichard Purcellは、「ユーザーが会社Aのウェブサイトにいるときに、第3者が会社Bに誘導できるようにした場合、だれがだれの情報をコントロールするのかという論争が生じることになる」と述べている。
BarnesandNoble.comの関係者によると、同社はGoogleの新しいツールバー技術を詳しく調査中で、またそれについてGoogleと話し合いを進めているという。
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