ネット関連の大手各社が、次世代ウェブアプリケーションに関する覇権争いを続けるなか、ウェブの主要な標準化団体が内乱の危機に瀕している。この原因になっているのは、インタラクティブな書類の柱となる電子フォームだ。
今週、World Wide Web Consortium(W3C)の参加メンバーの一部が、Web Forms 2.0の仕様策定作業がほぼ完成に近づいており、最後のコメント募集の呼びかけを行ったことを明らかにした。Web Hypertext Application Technology Working Group(WHAT-WG)と名乗るこのグループには、Apple Computer、Mozilla Foundation、Opera Softwareなどのブラウザー開発元も名を連ねている。
この動きにより、フォームベースのアプリケーションを新たなレベルに引き上げようとする競争に新たな参加者が加わることになるが、同時にそのことが新しいウェブアプリケーションの基盤となるオープンな標準づくりの取り組みを複雑なものにしている。またこの動きは、W3Cにとって新たに登場した大きな頭痛のタネでもある。W3Cは、2003年にXFormsに関する勧告を出したが、Microsoftを筆頭とするプロプライエタリソフトのメーカーがこれに抵抗し、長い間その普及を阻んできているからだ。
「いまは大規模な混乱状態にある」というのは、金融関連業界のクライアント向けに、フォームベースのアプリケーションを開発するEdgeIPK(本社:英国、ニューベリー)の最高技術責任者、Dharmesh Mistryだ。「W3CはXFormsこそが答えだというが、これに対しMicrosoftはXAMLを、MacromediaはFlash MXを、そしてMozillaではXULを推している。組織としての立場からすれば、『リッチなインターネットアプリケーションを1つの言語で書き、フォームはXFormsで書く』などと宣言することはありえない」(Mistry)
この戦いは、ウェブ関連技術の開発にかかわる駆け引きにおいて慢性的に生じている亀裂を浮き彫りにするものだが、その結果は電子フォームに関する各種オープン標準の行方に重大な影響を及ぼす。電子フォームは、ウェブ上や他のデジタルアプリケーションで情報を集めるために、最も一般的に利用されているツールだ。
現在のウェブ標準をベースにしたフォームは、Googleの検索、Amazon.comでの製品購入、ブログのエントリー、オンラインでの納税申告、ウェブメールへのログインなど、さまざまな用途で使われている。
業界では現在、新しいウェブアプリケーションプラットフォームの基盤となり、バックエンドのデータベースやCRMシステムと円滑にデータのやり取りが行える、一段と洗練されたフォームが望まれている。
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