米フロリダ州の裁判所は米国時間11日、浮気の証拠をつかもうと夫のコンピュータにスパイウェアをインストールした女性の行為について、州法違反であるとの裁定を下した。
フロリダ州の第5地区控訴裁判所は、夫ジェームズが他の女性とオンラインでYahoo Dominoesゲームをしていたときの会話ログを、妻のBeverly Ann O'Brienが「不法に入手した」と述べた。
Donald Grincewicz判事は3人の判事を代表して、「妻の行為は電気通信の傍受にあたる。この行為は、州法の下では違法であり、処罰に値する」と述べている。
控訴裁の3人の判事は、チャットログを離婚訴訟の証拠として提出することはできないと述べ、傍受した内容の公開を妻に禁じた。
コンピュータユーザーの行動を密かに監視するソフトウェアは、ここ数年の間に広く使われるようになった。しかし、今回の訴訟から、こうしたソフトウェアの使用をめぐり、人々の意見が対立していることがわかる。企業はこのようなソフトウェアを使って社員の電子メールやインスタントメッセージの内容を監視することがあるし、FBIはキーロガーを使って犯罪者が入力したパスワードを入手することもある。また、なかには、インターネットからユーザーのコンピュータにダウンロードされ、ユーザーのパスワードや口座番号などの秘密情報を盗み出す、悪質なものもある。
この裁判の争点は、Spectorというスパイウェアの使用が、フロリダ州の通信傍受法に違反したかどうかだった。同法によると「電気通信」を「意図的に傍受」することは犯罪行為にあたるという。なお、今回の裁判は刑事訴追ではなく、離婚手続きの過程で発生した民事訴訟である。
妻側の弁護士は、妻が行った監視は法律で禁止されている行為に該当しないと主張する。妻の行為は、夫のコンピュータに保存されたファイルを読むことと同じで、これは通信傍受にはあたらないというのが弁護士の考えだ。
しかし、Grincewicz判事は「妻がインストールしたスパイウェアは、夫がメッセージを送信すると同時に通信を傍受して内容をコピーし、これをコンピュータのハードディスクに保存した。通信の内容は、フロリダ州法に違反する形で傍受された」と結論付けた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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