Apple Computerは先ごろiPod用のソフトウェアをアップデートしたが、この際ひそかにRealNetworksのオンラインミュージックストアで購入した楽曲を一部のiPodで再生できないようにしていた。
RealNetworksはここ4カ月ほど、iPodと互換性がある自社の音楽ダウンロードサービスを、AppleのiTunes Music Storeに対抗できる唯一のライバルとして打ち出してきた。同社は今年7月に、自社の顧客がダウンロードした曲をiPodで再生できるようにする方法を発見していた。
これに対して、Appleは「Harmony」と呼ばれるRealNetworksの回避策を、「ハッカーの採る戦術」だと非難し、RealNetworksのサービスで購入した曲は「現行および今後登場予定のiPodでは再生できなくなる」と警告していた。Appleは、今回の措置に関する詳しい声明を発表していないが、iPod Photoと同時にリリースされたソフトウェアではRealNetworksのダウンロードサービスで購入した曲を再生できないことを正式に認めた。
このハイテク企業同士の確執の根底には、純粋な技術開発と同様に宣伝の側面があるのかもしれないが、これはデジタル音楽ビジネスに残された深刻な課題を浮き彫りにしている。CDの場合と異なり、競合するオンラインストアで購入した曲は、別ブランドのMP3プレイヤーで再生できない場合が多い。
各レコード会社の幹部や技術関連の競合各社は、Appleに対して、iPodの公開を繰り返し働きかけ、他社の音楽ダウンロードサービスで購入した曲も再生できるようにしようとしてきたが、Appleはこれを拒否してきた。そのため、レコード会社幹部のなかには、Appleの許可を待たずにiPodと自社サービスとの互換性実現を目指したRealNetworksの試みを称賛する者もいた。
Appleは今回、iPodの「ファームウェア」の部分に変更を加えた。ファームウェアは、MP3プレイヤーや携帯電話機などのハードウェアを動かすためのローレベルのソフトウェアを指す。この種のソフトウェアはほとんどの場合アップデートが可能で、これに変更を加えることで、デバイスに新しい仕様を提供したり機能を追加することは頻繁に行われている。
Appleが最後にiPod用ソフトウェアのアップデートをリリースしたのは11月中旬で、iPod Miniと第4世代のクリックホイール式iPod全機種に新バージョンが提供された。
同ソフトウェアのリリースノートには、複数の機能強化についての説明があるものの、Harmonyへの言及はなく、そのため「iPod Photo」以前のiPodでもRealNetworksの技術との互換性がなくなったかどうかについてはまだ明らかではない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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