カリフォルニア州モハベ発--Microsoft共同創業者のPaul Allenが出資するベンチャーの宇宙船「SpaceShipOne」が、29日(米国時間)宇宙に飛び立った。宇宙へ2度往復した最初の民間宇宙船には1000万ドルの賞金が与えられることになっており、SpaceShipOneはこの賞金を狙うライバルらに差をつけた形となった。
同日午前7時15分(米西海岸時間)より少し前、宇宙船を運ぶ特殊な飛行機が離陸した。White Knightと名付けられたこの飛行機は、Mojave Aerospace Venturesの宇宙船SpaceShipOneを高度14kmまで運んだ。そこで宇宙船は飛行機から切り離され、高度100km以上--通常大気圏外との境界とされる高度--まで飛び立った。
SpaceShipOneは約90分間のフライトで大気圏外到達に成功した。
宇宙船から降り立ったパイロットのMichael Melvillは、大勢の見物人に「楽しかった。エンジンも飛行機も、夢のように動いていた」と語った。
非公式な高度記録は100.5km(33万フィート)だった。Melvillは、予定より約11秒早く亜酸化窒素ガスで動くロケットエンジンを切り離してしまったという。もし予定通り燃料を使い切っていれば、SpaceShipOneは106〜110kmにまで達していただろう、と同氏はフライト後に記者団に語った。
正式な高度記録は、レーダーおよび機載の計測機材のデータを元に、後に決定される。
Melvillの操縦する宇宙船が軌道の最高点に近づいたあたりで想定外の回転を始めると、地上の見物人の間に緊張が走った。Melvillは後にこの回転を「勝利の回転」と冗談めかして呼んだが、回転の原因はまだ判明していない。
民間の宇宙ベンチャーは、裕福なハイテク業界関係者の間で相当な関心を集めている。たとえばAmazonを創業したJeff Bezosは、そのためにBlue Originという企業を密かに設立しているが、ただしBezosは同社の計画について沈黙を続けている。またPayPal創業者のElon Muskは自らのポケットマネー1億ドルを、ロケット建造や衛星打ち上げ、そして最終的には有人軌道飛行に投資する予定だ。
英国の実業家Sir Richard Bransonは今週、自らが所有する宇宙旅行会社Virgin Galacticで、SpaceShipOneの設計した宇宙船を使用する計画を発表している。
SpaceShipOneを操縦するMelvillは、同チームが6月に実施した最初のテスト飛行で、宇宙に到達した初の民間宇宙飛行士となった。このプロジェクトにはAllenのほか、伝説的な航空機デザイナーのBurt Rutanも出資している。
Rutanは航空エンジニアリング分野での多数の業績で知られている。たとえば、単独無着陸・燃料無補給地球周航を始めて達成した航空機Voyagerも、彼の設計によるものだ。
今回のフライトを無事終えたことで、SpaceShipOneはAnsari X Prizeの獲得に向けて、一歩前進することになる。Ansari X Prizeは、宇宙軌道への飛行を最初に完了したチームに1000万ドルの賞金を与えるというコンテストだ。参加チームは、最低でも高度100キロまで到達可能な宇宙船を自己資金で建造しなければならず、また3人の乗組員を載せて、着陸に成功しなくてはならない。さらに各チームは2週間以内に2度のフライトを行う必要がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」