電子メールの送信元特定方法の標準化に取り組むインターネット関連のエンジニアらは、Microsoftの知的財産の一部を仕様に含めるという同社の提案を投票で否決した。
電子メールの送信元の認証標準を開発しているテクニカルワーキンググループの共同議長が11日(米国時間)、同グループのメンバーによる投票の結果をまとめた。Internet Engineering Task Force(IETF)の一部門で、以前はMTA Authorization Records in DNS(MARID)ワーキンググループとして知られていたこのグループは、すでに提案済みの2つの標準を組み合わせた「Sender ID」仕様のなかで、Microsoftが特許申請する可能性のある技術を非公開とすることは認められないとの決定を下した。
同ワーキンググループで共同議長を務めるAndrew Newtonは、同グループのディスカッションフォーラムへの電子メールのなかで、「このワーキンググループでは少なくとも、特許申請は無視されるべきではない、という大まかな合意(に達した)」と記している。「MARIDは、この特許申請でカバーされると考えられる代替アルゴリズムの開発には取り組むべきではない、というのが共同議長の意見だ」(Newton)
ワーキンググループの共同議長を務めるMarshall RoseとAndrew Newtonの2人は3週間前、エンジニアらに対して、Microsoftの技術を含んだ技術仕様を採用することの是非を問う投票への参加を呼びかけていた。ApacheウェブサーバやLinuxのDebianディストリビューションなどのオープンソースソフトウェアグループらは、Sender ID仕様に関するMicrosoftの知的財産に対する権利の主張について同社が明確な方針を示していないことに、不快感を示していた。
Newtonは別の電子メールのなかで、Microsoftの提案した仕様はスパム防止用の標準に準拠したツールとして利用できるものだったが、しかし同グループでは特許に関する潜在的なリスクを含まない標準を選択することにした、と記している。
「(Microsoftの提案に対する)反論は、各種のオープンソースライセンスとの互換性のなさによって引き起こされる採用についての質問をベースにしたものだ。しかし、投票への参加者からの反応のなかには、こうした点を問題にしないという意見も非常に多くみられた」(Newton)
Microsoftの広報担当Sean Sundwallは、同社では「Caller ID for E-mail」という独自の提案仕様の開発計画を今後も進めていくと語った。しかし、同社は「Purported Responsible Address (PRA) 」という自社開発のテクニックを利用して、電子メール送信元の確認を行うとしている。
同氏は、送信元の確認に使われるSender Policy Framework(SPF)とPRAに言及し、「Microsoftは引き続き両方を公開していく」と述べた上で、「しかし、われわれがチェックするのはPRAだけになる」と付け加えた。
Microsoftは8月に「E-mail Service Provider Consortium」の活動の一環として、80社以上の電子メールサービスプロバイダをワシントン州レッドモンドにある同社本社に呼び寄せた。同社はこのコンソーシアムと「Anti-Spam Technical Alliance」に参加したおかげで、大手インターネットインフラ企業に同社の提案のメリットを売り込むことに成功している。
Caller ID仕様を事実上のインターネット標準として普及させようという同社の試みにとって、今回のIETFでの否決が妨げとなるかどうかについて、Sundwallはコメントを拒否している。しかし同氏は、Microsoftの関与の是非を問うこの投票にはメンバーの多くが参加しなかったと指摘している。
「(実際に投票した)参加者は非常に少ない」(Sundwall)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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