NTTレゾナント(資宗克行社長)と、in the city TOKYO 2004委員会(佐藤剛委員長)は9月13日、新人アーティストの発掘と音楽業界への情報発信を目的とした日本最大規模の音楽コンベンション「in the city TOKYO」(10月1日−10月10日)において、携帯電話で楽曲の検索ができる「サウンド入力型楽曲検索サービス」の実証実験を共同で行うと発表した。
「サウンド入力型楽曲検索サービス」は、周囲に流れる音楽を携帯電話でかざして15秒程度認識させると、NTTレゾナントのサーバーからその楽曲詳細URLをメールで告知するサービス。NTTレゾナントがNTTコミュニケーション科学基礎研究所および、NTT情報流通プラットフォーム研究所の技術を使ってサービス開発した。
実験期間は「in the city TOKYO」の開催期間を含む10月1日−10月31日まで。サービスの利用には事前の会員登録が必要だが、事前登録なしで気軽に試せる「お試し版」も用意した。利用はどちらも無料で、メール機能のある携帯電話から利用が可能。
実際のサービスの流れは、(1)指定番号にダイヤル、ユーザー認証、(2)携帯電話を曲に15秒かざす(キャプチャ)、(3)データ検索、(4)結果URLを受信、(5)該当サイトにアクセス――となる。「渋谷の街中程度の雑音でも、流れているスピーカーに携帯電話を向けてキャプチャーすれば、正しい結果が返ってくる」(NTTレゾナント・取締役副社長 中嶋孝夫ポータル事業本部長)と、技術的課題だった知りたい曲だけの切り分けを可能とした。
このほか、音楽を波形でなく、数値化して圧縮音楽ファイルに変換するのが特徴で、3分程度の楽曲を100KBのファイルに圧縮できる。照合するデータは、ジャパンミュージックデータが提供し、邦楽20万曲を用意した。
中嶋孝夫ポータル事業本部長は、「今回の実験では、実際の活用シーンや商用サービスに向けた検証を行い、できるだけ早く実用化にもっていきたい」と意欲を見せた。
一方、「in the city TOKYO」主催の音楽制作者連盟・糟谷銑司理事長は、「われわれの権利にかかわる諸問題を自分たちから解決していこうという機運が高まり、数年前からより積極的にITに取り組んでいる。6回目となる今回のイベントでは、音楽産業とIT業界を結びつけることで、TV、ラジオ、音楽関連雑誌でカバーできなかったユーザーとコンタクトをとり、新たなビジネスの実験の場としていきたい」と、今回の参加背景を説明した。
また、同・山中聡副理事長は、「何年にわたっても良い曲は残る。われわれは、『J-Standard』というブランドで、1曲のもつ楽曲の良さを大切にしていこうとしているが、今回のサービスでは、そうしたニーズにも合致した」としている。
今後、3社では、タイトルの楽曲データだけでなく、そのアーティストのファンクラブサイトやリコメンド情報など、周辺の付加情報をポータルサイトに用意し、新たなビジネス創出につなげていく考え。
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