米ニューヨーク市で開催中の共和党全国大会(RNC)では、政府機関と抗議団体の双方が、各種の新しい通信技術を取り入れ、その実力を試している。
安全対策で標準的に利用されるものといえば監視カメラだが、国土安全保障省下にある政府のセキュリティ組織、連邦防護局(FPS)は、今週開催中の共和党大会で、さらに一歩進んだ安全対策を取り入れている。同局では、スタッフのヘルメットに小型ビデオカメラを取り付け、本部の司令官がニューヨーク市中にある政府の建物の周囲で何が起こっているか、リアルタイムで把握できるようにしている。
カメラが撮る画像は無線網を介してモバイル・コマンド・センターに伝送される。センターにいる司令官は各カメラから送られてくる情報を介して、路上に配置されたスタッフと同じように現場の状況を把握することができる。
「無線通信だけでは、状況を評価することは難しい」と国土安全保障省の広報担当Garrison Courtneyは述べる。「このシステムのおかげで、本部に座っている熟練の職員が、現場で起きていることを自分の目で確かめられるようになった。今は、収拾のつかない事態が発生しても、司令官が本部から路上のスタッフに指示を出せる。これは優れた治安維持手段だ」(Courtney)
これ以外にも、今回の共和党大会でFPSは、国土安全保障情報ネットワーク(Homeland Security Information Network:HSIN)を試験運用している。インターネットべースのネットワークであるHSINは、2001年9月11日の同時多発テロ事件をきっかけに構築された。構築の目的は、安全保障省の職員や州・地域のトップ、非常時に備えて待機するサービススタッフを結びつけることにあった。同ネットワークは、今年5月にジョージア州シーアイランドで開催されたG8サミットでデビューし、その後、ボストンで開催された民主党全国大会(DNC)でも利用されている。だが、安全対策の規模という点では共和党大会がこれまでで最大のイベントである。
「ニューヨーク市の人口は約900万人だ。それに対し、ボストンは60万人程度だ」とCourtney。「民主党大会が大きなイベントではなかったということではない。だが、ニューヨークの規模や、そこが過去にテロの標的となったことを考慮すると、こちらの方が大きな任務といえる」(Courtney)
国土安全保障省は先ごろ、地方と連邦の政府機関を接続する取り組みが遅れていることで非難されている。
抗議者側でも、情報を広めるのに新しい技術を利用している。抗議運動参加者たちは、無償の宿泊場所やイベントスケジュール、逮捕された場合に備えた法的アドバイスなど、ありとあらゆる情報を提供するウェブサイトをオープンしたことに加え、携帯電話のショートテキストメッセージを利用したやりとりも行っている。
応用自律研究所(Institute for Applied Autonomy:IAA)という組織は、「TxtMob」というテキストメッセージサービスを開発した。IAAのウェブサイトによると、TxtMobを使えば、ユーザーは、携帯電話を使って迅速かつ容易にメッセージを共有することが可能になるという。ユーザーは登録を行い、自分の電話番号と電子メールアドレス情報を提供することで、アラートメッセージを受信できるようになる。
IAAが今月初めに発表した声明文によると、TxtMobは、ボストンで開催された民主党大会で、抗議運動参加者同士が警察の動きに関する分刻みの情報を共有するのに活用されたという。声明文によると、民主党大会の会期中、医療サポート部隊と法務サポート部隊は、TxtMobを用いて必要時に人やリソースを派遣したほか、200人以上の抗議運動参加者が同サービスを利用したという。IAAは、RNCでも抗議団体と取り組みを進めている。
今回は「モブロガー(Moblogger)」といわれるモバイルのブロガーも登場した。カメラ付き携帯電話を手にしたモブロガーは、写真、テキスト、短い動画をすぐにオンライン上の自分のBlogなどに掲載してレポートできるようになった。Moport.orgは、モブロガーが撮影した写真を自分たちのウェブサイトに掲示して、世界中の人が閲覧できるようにする無償ツールを提供している。
「約1万5000人の報道関係者がRNCをレポートしていると思われる。でも、25万人もの抗議運動参加者、1万人の警察、5000人の大会出席者がいる中で、報道関係者が必ずしも任務を実行できるとは思えない」とMoport.orgはウェブサイトで述べている。「だから、RNCの関係でニューヨーク市に来る計画なら、RNC MoPorterになって、ウェブであなたの視点を放映しよう」と同サイトには書かれている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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