電子投票システムの安全性および正確性に対するセキュリティ専門家の信頼度は、一般人のそれに比べはるかに低いことが、最近行なわれた一連の調査結果から明らかになった。
今回の調査を行なったPoneman Instituteは、多くの一般人を対象にした世論調査と、最近開催されたコンピュータセキュリティに関するカンファレンスDefconに参加した、はるかに小人数の研究者を対象にした調査をそれぞれ別個に実施した。調査員らによると、一般人を対象とした世論調査は十分科学的と言えるほど大規模であったのに対し、Defconでの調査は十分な規模で行われたとは言えないが、ある程度広範な結論が導き出せるほど見解に大きな差が現れたという。
Defconに参加したセキュリティ専門家の大多数に当たる81%が、電子投票システムの「安全性/信頼性」について「全く信用していない/ほとんど信用していない」と答えた。しかし一般の人々で、専門家と同様にシステムに対し強い懸念を抱いている人は全体のわずか25%だった。彼らの最大の関心事は、システムの正確さや安全性ではなくシステムに対する投票者の反応だった。
Poneman Instituteを率いるLarry Ponemanは、今回の調査結果について、電子投票システムに対し一般国民が信任票を投じたとも取れるが、それでも政策立案者らは今秋に実施される選挙で電子投票システムを利用する前に、もう一度慎重に検討すべきだ、と指摘する。確かに現時点では、一般の有権者はさほど大きな不安を感じてはいないが、セキュリティの専門家の懸念が一般国民にも広がり、選挙結果に対する信頼性を損なったり、あるいは有権者に投票を思いとどまらせることになりかねないとPonemanは指摘する。
Ponemanは「(電子投票システムが)正しく機能するか否かは分からない」と述べた上で、「しかし、人々はシステム(に対する認識)に基づいて投票パターンを変える可能性があり、その程度によってはシステムが選挙結果を変える可能性もある」と述べた。
選挙政策立案者らが、2000年の選挙の際にフロリダ州で発生したような混乱を避けようとしていることから、電子投票の安全性についての議論は過去1年間で一層激しさを増した。
賛成派は、電子投票システムは正確であり、身体障害者や投票用紙に書かれている言語を正しく理解できない人々にとってより公正であると主張する。一方反対派は、電子投票システムは本質的に安全性に欠け、改ざんやハッキングが行われやすく、また再集計やチェックを行なう際に利用可能な紙製の投票記録を印刷する機能がついていない場合が多い、と指摘する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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