RealNetworksとAppleの間の論争は、デジタル音楽の進化において重要な要因となり得る。レコード会社と消費者は、AppleのiTunesやNapsterといったデジタル音楽サービスに対して互換性を強く要求してきた。しかし現状では、特定のサイトで購入する楽曲は、特定の音楽プレイヤーにしか対応していない。
Appleが最大のマーケットシェアを握っていることから、互換性の問題は同社を中心に議論されてきた。同社はFairPlayデジタル著作権管理ソフトウェアをライバル各社にライセンス供与することも、ほかのコピー防止用ソフトをiPodでサポートすることも拒否している。その結果、NapsterやRealNetworksなどで販売される楽曲は、iPodでは直接再生することができない。
しかし、RealNetworksが先週Harmonyというソフトウェアをリリースしたことで状況が変わった。同社がFairPlayソフトウェアを十分にシミュレートしたため、iPodでも同社サイトで購入した楽曲を再生できるようになった。
Appleは米国時間29日に、数日間の沈黙を破り、Realの今回の行動には「唖然とした」とコメントした。
Appleは声明の中で、「RealNetworksは、ハッカーのようなやり方でiPodをクラッキングした。われわれは、彼らの行動が含むところをDMCAなどの各種法令に照らして検討中である。われわれは、Realとその顧客に対し、iPodソフトウェアのアップデートはしばしば行われており、現行および今後登場するiPod上では、RealのHarmony技術が機能しなくなる可能性が高いことを警告する」と語った。
1998年に議会を通過したDMCAの主な目的は、デジタルメディアを著作権侵害から守ることだった。同法は、「作品の利用を正式にコントロールする技術手法の回避」を禁止している。さらに同法では、コピー保護技術を破ることを主な目的としたデバイスやソフトウェアの販売もしくは「不正取引」も禁じている。
ただし、この中には「互換性実現に向け、そのプログラムの構成要素を鑑定および解析するだけが目的」のリバースエンジニアリングを免除する項目もある。
しかし、過去のDMCA裁判では一貫した判断が下されていない。
RealNetworksは29日に発表した声明の中で、同社はHarmonyの開発にあたり法律的な一線を越えないよう非常に大きな注意を払ったと述べている。
「実際、DMCAはコンテンツに鍵をかける新しい方法の開発を禁じるためにつくられたものではなく、互換性のあるソフトウェアの開発を明示的に認めている。Harmonyはこの互換性を実現するために、完全に合法的な、独自に切り開いたやり方でつくられたものだ。こうした行為には、たとえばCompaqから出た最初のIBM互換PCのように、はっきりとした前例が豊富にある」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス