米国のレコード業界がインターネットサービスプロバイダ(ISP)に対し、著作権侵害で提訴された匿名のファイル交換者の身元を開示するよう求めた件で、連邦地裁判事は、レコード業界側の主張を認める予備判決を言い渡した。
連邦地裁のDenny Chin判事は26日(米国時間)、コネチカット、ニュージャージー、ニューヨークの各州でブロードバンド・インターネット接続サービスを提供しているCablevisionが、著作権侵害で提訴された契約者の身元を開示要求されたことを合法とする裁定を下した。
マンハッタン連邦地裁所属のChin判事は、権利章典で暗黙に定められている匿名性の保証は、このケースでは、認められないとし、次のように述べた。「(著作権侵害で起訴された)人物は米国憲法修正第一条を根拠に身元の開示を免れることはできない」
この裁判を見守っている弁護士らはChin判事の判決について、RIAAが提起した「匿名のファイル交換者」に関する数多くの裁判の判決の中で最も内容が詳細である点で、重要な判決であると評価している。Chin判事は、ファイル交換もある程度は「言論」とみなし得るが、RIAAのメンバー企業は修正第一条がもたらしたハードルを乗り越え、被告の身元を強制的に開示させる判決を勝ち取った、と語った。
非営利団体のPublic Citizenの顧問弁護士を務めるPaul Levyによると、「今回の判決の素晴らしさは、(判事が)この件では修正第一条の利害関係者の立場が危ういことを認識し、バランシングテストを適用している点にある」という。RIAAに反対する意見を述べる「Friend of the Court(裁判所の友)」書簡を提出したLevyは、Chin判事の分析について、「著作権侵害訴訟を起こす企業は、実際に侵害が起きており、単に調査で誰かの名前を探し出そうとしているわけではないことを証明しなければならないことを確認するものだ」と述べた。
RIAAで法務を担当するシニアバイスプレジデントのStanley Pierre-Louisは同判決について「インターネット上で著作権侵害行為を行う者は、PtoPネットワークを利用していようがいまいが、いかなる場合も匿名性が保障されないことを明らかにするものだ」と電子メールでコメントした。
RIAAに協力している調査員らが、PtoP著作権侵害の容疑者40名のアドレスを追跡した結果、Cablevisionのネットワークを突き止め、RIAAの弁護団がCablevisionに召喚状を送付した。同社は今年2月、およそ40名の匿名の被告の氏名を引渡していた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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