カリフォルニア州バークレー発--企業のコントロール下から大衆の元へインターネットを取り戻す手段だと言われてきたBlogだが、近頃は、エンタープライズツールとして注目を集めている。
これは、カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院で、米国時間23日〜24日の2日間開催されたカンファレンス、BlogOn 2004「The Business of Social Media」で発信されたメッセージだ。カンファレンスを通して、Blogソフトウェアベンダやエバンジェリスト、開発者などは、オンライン日記の、企業と個人の両市場における豊かな展望を探究した。
Blogを企業で使うことの有用性を大々的に説くベンダが多かったが、Microsoftもその1社だった。
Microsoftでプラットフォームエバンジェリズム担当ディレクターを務めるLenn Pryorは、「透明性とかオープン性と言われて、Microsoftの名がすぐに浮かぶ人は少ないだろう」と述べる。Blogを使えば、「今より、オープンな環境の下で顧客と率直な意見をやりとりするできるようになる」(Pryor)
Microsoftと同社の広報を担当する従業員や契約社員は、企業メッセージをコントロールしようとすることで知られている。だが、Blogの登場により、Microsoftの企業コミュニケーションは大いに分散化された形態をとるようになったとPryorは述べる。同社従業員のうちの約1000人が、会社からの制約を受けない形でBlogを運営しているという。
Microsoftはこの春、「Channel 9」という開発者向けBlogサービスを開始した。このネーミングは、航空機の乗客が機長と航空交通管制官との間のやり取りを聴くことができる音声チャンネルに由来している。
Pryorは、Microsoftの顧客を航空機の乗客に例え、操縦席内部でのやりとりを聴くことは不安の軽減につながると述べる。
「われわれの顧客はそう感じているようだ」とPryor。「金属チューブに閉じ込められた状態で、4万フィート(約12000m)の高さを時速600マイル(約965km)で飛んでいるわけだからね」(Pryor)
4月にこのBlogサービスを開始して以来、Microsoftのサイトには70万人の個人顧客が訪れている。同サイトには、Microsoftの従業員のBlogが掲載されており、訪れたユーザーは、質問をしたり他の人の質問に答えることができる。
Microsoftとともにパネルに登場したのは、BlogソフトウェアベンダSix Apartの創業者たちだ。各パネリストは、Blogがもたらす企業の透明性について、自分の体験談を披露した。
Six Apartがかつて、新しい価格設定とライセンスプログラムへの移行を発表した際、ブロガーたちは自分たちのサイトで同社を笑いものにした。
「一夜にして、われわれはMicrosoftよりも憎まれるようになった」とSix ApartプレジデントのMena Trottは語る。「われわれはBlog界のMicrosoftになった。だから、今日Microsoftと一緒にパネルに参加でき、光栄に思う」(Trott)
長いことBlog界でその名を知られ、Six Apartのバイスプレジデントを務めるAnil Dashは、同カンファレンスの入場券が売り切れたことは、Blogという媒体が企業に受け入れられつつあることを意味すると述べる。
「2年前には、タイトルに「Blog」という言葉が入ったイベントなんて想像もできなかった」とSix Apartの副社長、Anil Dashは言う。「これは、Blogが成熟しつつあることを示している。Blogが本当にビジネスのツールになりつつある兆候だ」(Dash)
企業がBlogを利用するメリットは、逆説的な見方をすれば、企業が企業らしく見えなくなること、つまり企業の顔が顧客から見えるようになることにある、とDashは言う。
だがDashは、Blogがカンファレンスの参加者に代表されるような技術に精通した少数派の世界から抜け出すには、まだ長い時間を要することも認めている。
「残りの95%にもわれわれは働きかけなければならない」とDashは述べ、「ここにいる多くの人々が、このメッセージを伝える手助けをするだろう」と付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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