不法ダウンロードをめぐってレコードレーベル各社から起訴されることを心配するファイル交換ソフト利用者にとって、新たな懸念材料が持ち上がった。それは、米司法省の存在だ。
海賊行為を防止するための法案が、早ければ来週にも上院で可決される可能性がある。この法案は、著作権を侵害した疑いのある者に対して民事訴訟を起こす権限を検察当局に与えるものである。不正なファイル交換者は、数十ドルから場合によっては数十万ドルの罰金を科されることになる。
海賊行為防止法と呼ばれるこの法案は、これまでレコード業界がPtoPファイル交換ソフト利用者数千人を相手取って起こしてきた一連の訴訟を不安の目で見守ってきた著作権専門の弁護士やPtoP企業のロビイストからは、新たな懸念材料として見られている。彼らは、米司法省であればかなり積極的に介入してくるだろう、という。
Orrin Hatch上院議員(ユタ州選出:共和党)は、同法案への支持を表明しながら、「必要な抑止力を発揮するには、膨大な数の民事執行手続きを継続する必要があるかもしれない。このような運動の展開に必要な資源や道徳的権限は、どの非政府組織にもないと思う」と話している。
この海賊行為防止法は、全米レコード協会(RIAA)やその盟友たちが立法に向けて最近最も力を入れている取り組みだ。彼らは、依然として人気の高いファイル交換ネットワークを断ち切るためには思い切った行動が必要である、と主張する。
RIAAのロビイストMitch Glazierは米国時間25日、「われわれは、これが一連の強制措置のなかで鍵を握ると見ている。効果的に(違法ファイル交換を)防止していくためには、検察当局に柔軟性を与えることも必要だ」と話している。
海賊行為防止法に反対する人たちは、法案の審議が異常に速く進んでいる点を懸念している。同法案が提出されたのはわずか2カ月前の3月25日だった。さらに、下院司法委員会は、法案を上院議会に提出するまでの1カ月の間、一度も聴聞会を開いていない。
Kazaaネットワークを運営するSharman NetworksのロビイストPhilip Corwinは、「これは、法案を密かに通過させようという試みだ。Jack Valenti(ハリウッドのロビイスト)やMitch Bainwol(RIAA会長)が、連邦議会に出席して『一連の訴訟を起こす資金がないので納税者に訴訟費用を肩代わりしていただきたい』などと証言したがるとは思えない。彼らは、公の場でこのような発言をしたがらないだろう」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」