ロサンゼルス発--少なくともコンピュータゲームの販売を考える場合、今でも中国には、神秘的な東洋の国というイメージがある。
先週当地で開催されたE3ゲームトレードショーに集まったゲーム/インターネット業界の幹部らは、中国のオンラインコンピュータゲーム市場について、潜在的に巨大な市場である一方、規制や文化、商慣習といった要因が複雑に絡み合って参入の障壁になっている、ということで意見が一致した。
中国は経済的な制約から、最初のゲームブームに大きく乗り遅れた。14億の人口のうち、ゲーム機やPCを購入できる経済力がある人は非常に少ない。同時に、著作権の侵害行為が横行しているため、中国語のゲームソフトを販売したいと考える企業も少ない。このような問題があるため、中国では、西洋の映画や音楽、そのほかの各種エンターテイメントの流通も限られたものになっている。
しかし、オンラインゲームは新たなチャンスでもある。アジアのほかの国々同様、中国ではオンラインゲームをインターネットカフェで楽しむのが一般的である。このおかげで、人々は高価なハードウェアを購入する必要がなくなっている。さらに、定額制オンラインアカウントへの申し込みを勧誘する目的で、ゲームソフトウェアは無償配付されるのが一般的になってきているため、著作権の侵害もさほど問題にならない。
調査会社Parks Associatesが実施した調査によると、中国のインターネット人口は推定6830万人で、そのうち、定期的にオンラインゲームを楽しむのは1400万人であるという。
しかし、中国には外国企業のビジネス展開を困難にする官僚主義的な手続きが多く、西洋諸国のゲーム開発業者が中国市場に参入するには、さまざまな課題が伴う。上海に本社を置くゲーム開発業者FGOGの業務開発ディレクターJohn Ohは、「複雑な書類申請を行い、承認要件を満たさなくてはならない。外国企業は中国国内に優れたパートナーを必要とするが、このような承認やライセンス取得(手続き)をうまく処理することが、(中国国内のパートナーと提携する)最大の目的だ」と語った。
さらに、文化的/政治的な制限範囲を越えるコンテンツに対しては、政府の検閲という制約も加わってくる。
オンラインゲームサービスプロバイダNetEaseのエグゼクティブディレクターMichael Tongは、「中国の開発業者は政府が許可しそうな内容を十分把握している。ポルノは無理だ。暴力の方がまだ問題にならない」と語った。
自社製品を中国市場に適合させようと考える西側諸国のゲーム開発業者にとって、中国国内で高まる、国内産コンテンツ開発の動きも問題になる。韓国のゲーム開発業者ActozSoftのビジネスプランニングマネジャーEric Kwanは、「大手中国企業がゲームの自社開発に必死に取り組んでいる。ライセンスを受けたゲームが成功する余地もまだ残されてはいるが、どの会社も中国市場に全力投球している」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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