パデュー大学の研究者が、画像やスケッチをもとに情報を集めてくる検索エンジンを開発した。この検索エンジンでは、たとえば蝶ナットの絵を描くと、データベースを検索して、その絵にマッチする画像を全て表示するといったことが可能になる。
形を検索キーとするこの検索エンジンは、いまはまだ、数千の画像情報を収めたデータベースで動いているだけだ。しかしこの技術は、今後より多くの数の画像を扱えるように設計されている。これが実験室以外で最初に使われるのは、商用の検索ツールとしてではなく、産業用データベースになりそうだ。
しかし、今後10〜15年の間に、画像検索はインターネット上のサービスに利用されるようになる、とパーデュー大学機械工学教授で同大の工学情報システム研究教育センターのディレクターを務める、Karthik Ramaniは述べている。
こうした技術がネット上で実用化されれば、現在GoogleやYahooで使われている、テキストによる検索を超えるものとなるだろう。
「頭の中で思い描いている画像を検索できるようになる。形には詳細な情報が多数含まれている」(Ramani)
この検索エンジンの詳細は、ボストンで4月1日(米国時間)に開催されるInternational Conference on Data Engineeringでの論文プレゼンテーションで発表される。
現在、インターネット上にある画像検索サービスでは、いまだにテキストを使って検索を行っている。GoogleやAltaVistaなどの一般的なウェブ検索エンジンは、オンライン上の何百万もの画像を検索できる。だが、こうした検索は、主にキーワードを使って情報を探し出すものだ。つまり、ユーザーが入力したキーワードにマッチする画像を見つけ出すためには、画像側にメタデータと呼ばれる説明的な単語でタグ付けされていなければならない。
しかし、多くの画像にはこうしたテキストデータが付けられておらず、また画像へのメタデータ追加も負担が大きくなることから、こうした手法には限界がある。さらに、1つの画像には比較的少ない説明しか付されていないため、ユーザーのボキャブラリと一致させるのが難しいという可能性も考えられる。こうした理由から、Corbisのような商用写真を提供するウェブサイトでは、画像へのメタデータの追加に多大な投資を行なっている。
Ramaniによると、パデュー大学が開発したこの画像検索エンジンは、大手メーカーが設計・購入した多数のコンポーネントを管理しやすくする方法として考えられたものだという。大企業では、こうしたパーツが管理できなくなることが多々あり、マシンの図面を人手を使って探さねばならなかったり、さらにはパーツを再設計しなければならなくなることもある。
パデュー大学が行った調査によると、設計エンジニアが紛失したパーツを見つけ出すのに費やす時間は、全体としてみると、1年で6週間分にも相当するという。今回発表された画像検索エンジンを使えば、こうした捜し物の時間が80%も削減できる。
「企業という存在は、実に物忘れが激しい」とRamaniは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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