MicrosoftとWalt Disneyは提携関係を結び、今後デジタルメディアコンテンツと配信システムを共同で開発していく。両社は米国時間9日にこの提携を発表すると見られている。
この提携に関する具体的な事柄はほとんど明らかになっていないが、Microsoftにとってこの提携は主要な映画会社との関係を固めるものとなる。Microsoftは、自社の音楽および動画用ソフトウェアプラットフォームを普及させる上で、映画会社との関係を重視している。同社幹部によると、両社は高品位の映画からデジタル著作権管理(DRM)まで、さまざまなテーマで協力関係を深めることになるという。
「この提携は、両社がデジタルメディアに関する各種の取り組みで協力し、消費者へのデジタルコンテンツ提供を加速させることを目指すものだ」と、Microsoftのデジタルメディア部門ゼネラルマネジャーのDave Festerは述べている。「この提携で、IT業界と映画業界をつなぐ大きな架け橋ができる」(Fester)
Microsoftは、過去数年にわたり、エンターテインメント技術や映画会社との関係をますます重視してきている。普通の家庭のリビングルームで、PCがエンターテインメントの中心的役割を果たすというビジョンを、同社が抱いているためだ。
今回の提携の下で、DisneyはMicrosoftのWindows Mediaデジタル著作権管理ソフトウェアの非独占的ライセンスを取得する。なお、Disneyによるこの技術の使途や、使用の時期については、詳細は明らかにされていない。
両社はまた、コンテンツを保護する技術の開発と配信についても共同で取り組むと述べており、家庭にあるさまざまな端末から、保護されたデジタルエンターテインメントファイルを利用できるよう、そのための技術開発を支援していく。Festerによると、DisneyはMicrosoftの高品位メディアフォーマットを使用する可能性もあるという。このフォーマットでは、通常のDVDより解像度の高いビデオコンテンツを作成できる。
特に、Disneyの子供向けの映画は、小さな子供がいる家庭で購入されて繰り返し再生されている。こうした作品を含むDisneyのコンテンツがWindowsベースのマシンで安全に再生できるようになることは、ホームエンターテインメントシステムのコントロールセンターとしてのこれらの端末の信頼性を向上させることになるだろう。
DisneyとMicrosoftの関係は数年前にさかのぼる。Gatesが2002年にMSNの新バージョンを発表した際には、DisneyのCEO(最高経営責任者)であるMichael Eisnerが、Gatesの傍でMS-Disney共同ブランドの家庭向けエンターテインメントサービスを売り込んでいた。また、両社の関係は米国におけるMicrosoftの独占禁止法違反訴訟でも問題となったことがある。
Disneyはこれまで、違法コピーがオンラインで出回らないとの保証がない限り、デジタル形式でコンテンツをリリースすることはないとしてきた。同社は、あらゆるコンピュータや他のデジタル端末に強力な違法コピー防止技術を盛り込むことを求めた法案を最初に支持した1社だったが、結局この法案は成立せずに終わっている。
同社は最近では、MovieBeamという名のビデオ・オンデマンド(VOD)サービスを開始したが、これはデジタルテレビ用の無線波にある空き帯域を利用して、専用のハードウェアにビデオを配信する会員向けのサービスだ。また同社は、CinemaNowやMovielinkなどのインターネットベースのサービスを通じて、一部の作品を配信している。
この提携のニュースに先立って、数日前には、Apple Computer CEOでもあるSteve Jobsの経営するアニメーション映画製作会社Pixarが、数カ月にわたる交渉の末、Disneyと袂を分かつとの報道があったばかりだ。Jobsによれば、Pixarは自社のアニメーション作品の配給に関して、新たなパートナーを探すという。同氏は、投資家との電話会議のなかで、「Disneyのマーケティング力やブランド力をもってしても、(同社の)直近の2作品を成功させることはできなかった。両作品とも興行的には失敗に終わったのだ」と宣言した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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