先日のスーパーボウルの放映中に、Janet Jacksonの胸が露わになった件で、予想外の方面に波紋が拡がっている。一部のTiVoユーザーは、今回の事件をきっかけに、自分たちの行動が愛用のデジタルビデオレコーダーに監視されていたことを改めて思い知らされたと述べている。
TiVoが米国時間2日に明らかにしたところによると、ハーフタイムショウの中でJacksonの胸が露出した瞬間、同社サービス開始以来最高となる視聴率が記録されたという。TiVoの所有者は、同社の契約サービスに加入することで、テレビの生中継を一時停止させたり、「巻き戻し」できるようになるなど、さまざまな操作が可能になる。
TiVoによると、ユーザーは胸が露わになった事件をスーパーボウル中継のほかの場面の3倍近く繰り返し見たという。そして、このニュース自体がさまざまな媒体で見出しを飾り、同社の長年にわたるデータ収集業務の威力を大きくPRすることになった。
かなり以前からTiVoに加入しているSandra Munozsheは、CNET News.comに宛てた電子メールのなかで、「何かちょっと薄気味悪い」と書いている。
TiVoの広報担当によると、同社はきちんとしたプライバシーの基準に厳密に従って業務を進めているという。TiVoは、データ収集業務について、ユーザーとの契約事項の中で何年も前から公表しており、契約書のなかでは個々の視聴者を特定できる情報は取り去ってあるとしている。広報担当によると、TiVoではおそらく個人の視聴傾向を調査することも可能だが、そのようなことはしていないという。だが同社では、スーパーボウルのときのように、特定の番組を視聴する2万世帯をランダムに抽出して、これに関するデータマイニングを実施する、といったことを時々行っている。
同社広報担当のScott Sutherlandは、「視聴者の不安は理解できる。だが、現実にはそういう不安は事実無根のものだ」と語った。
従来は主にPCとの関連が深かったプライバシーの問題は、インタラクティブ機能を搭載したデジタルビデオレコーダー(DVR)などの新型デバイスの登場により、徐々にリビングルームにも波及しつつある。かつては受信だけの一方通行だったテレビや、ラジオでさえも、サービスプロバイダーに情報を送り返せる双方向の電子機器へと変わりつつある。この転換は、新技術が人口統計調査などの名の下に濫用されないように、新しいプライバシー標準を遵守して行かなくてはならないメディアに、基本原則の根本的変化をもたらすことになる。
今回、TiVoの調査をめぐって発生したプライバシーに関する小競り合いは、インターネットでは何年も前から一般的だったものだ。しかし、ほかのメディアに関しては、いまようやくこの問題に対する消費者の認識が高まりを見せていることが、今回の事件で浮き彫りになった。ビデオデッキのように機能するが、録画にビデオテープではなくハードディスクを利用するDVRは、業界を一変させてしまうようなインタラクティブ機能をテレビに提供する。たとえば、ユーザーがこれまでに視聴した番組に基づいて番組を推薦したり、生中継を一時停止させたり、CMをスキップさせることができる。
DVRを使えば、視聴者は簡単にCMをスキップしてしまえるため、これまでは放送局への潜在的脅威として脚光を浴びることが多かった。しかし放送局側では、視聴者の行動を追跡できるDVRのような機器の力に魅せられてもいる。視聴者が何を観たかといった情報は、マーケティングキャンペーンやその他の効率を改善するために利用できる貴重なものだからだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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