通信業界の大手各社は、インターネット電話(VoIP)という生まれて間もない市場に、先を争って参入しているが、一方MicrosoftとソニーはすでにVoIPで最初の画期的なアプリケーションを発見している。それは、オンラインゲームで他のバーチャル戦士を罵倒する、といった利用方法だ。
MicrosoftのXboxやソニーのPlayStation 2のオンラインサービスは、VoIPサービス初のコンシューマー向け主要アプリケーションをつくり出し、オンライン戦士が何千時間も連続でチャットし続けられるようになった。VoIPサービスの主な市場と考えられている企業や家庭の顧客とはまったく毛色の異なる客層だが、しかしオンラインゲームは、こうしたサービスを安価で効率的に提供し、顧客を誘い入れるための貴重なヒントを提供している。
「ちょっと姑息なやり方だが、オンラインゲームを提供することで、顧客にVoIPと馴染んでもらえるだろう。これで顧客が通常の加入者電話からVoIPに乗り換えるとは考えにくい・・・だが、ある状況でのVoIPの使われ方に関する技術的・社会的・行動的な実験にはなる」と、リサーチ会社Zelos Groupのアナリスト、Billy Pidgeonは述べている。
Microsoftのやり方は、携帯電話サービスプロバイダが顧客をデータサービスに招き入れた際と同じ、「補助輪」を使ったアプローチだと見る向きもある。携帯電話サービスプロバイダは4年前にワイヤレスメッセージサービスを開始し、顧客がこの簡単なサービスを手始めとして、さらに複雑で高価なデータサービスを利用するよう仕向けるという戦略をとった。そして、2003年末にはこの戦略が成功を収めているとの兆しが見えている。テキストメッセージの利用は最高記録に達しており、また携帯電話でのビデオダウンロードサービスは米国内でもまもなくスタートする。
しかしMicrosoftが、オンライン戦闘ゲームでのVoIPサービスをきっかけに通信部門に進出しようとしているのかどうかは、まだはっきりしていない。だが、いまのところ、オンラインゲームから得られる情報は、Microsoftにとってとりわけ価値の高いものだ。同社には、オンラインコラボレーションや電話会議用製品にVoIPサービスを統合するという、より大きな計画がある。Microsoftにとって、1年以上前にスタートしたオンラインゲームサービスXbox Liveは、VoIPやその他の要求の厳しいオンラインアプリケーションの提供サービス運営について、隅々まで学ぶための手軽な手段となっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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