これまで別々に存在していたPtoPネットワークに橋渡しをする、新しいファイル交換ソフトが登場した。PtoPネットワーク間の検索効率が向上するとともに、ソフトウェア開発者同士の競争も激しさを増しそうだ。
StreamCast Networksは15日(米国時間)、Morpheusの最新テストバージョンをリリースした。このアプリケーションは、Kazaaを含む主要なファイル交換ネットワークすべてを利用できる、初めてのアプリケーションだ。ちなみに、Kazaaは世界最大のPtoPネットワークで、数年前にStreamCastを閉め出したといういわく付きの関係にある。Morpheusの他にも、ShareazaやMacベースのPoisonedなどの小規模なソフトウェアも同様のマルチネットワーク検索機能を提供しているが、StreamCastはこの路線を採る初めての大手商業企業となる。
いくつものPtoPネットワークをまたいでファイル検索やダウンロードが可能になれば、いっそう多様なコンテンツや交換相手にアクセスできるため、エンドユーザーはよろこぶかも知れない。しかし、Kazaaには広告などの商用機能が含まれているため、配布元のSharman Networksのような企業にとっては、新しいMorpheusのようなソフトウェアの登場が自社の後退につながりかねない。Morpheusや、他の企業が提供するPtoP共通検索機能が受け入れられれば、StreamCastらは自社PtoPソフトウェアのユーザー数に関係なく、ライバルのネットワーク上にある入手可能なファイルライブラリに匹敵する数、もしくはそれ以上のファイルを提供できるようになる。
複数のネットワーク間をまたぐ機能を提供する動きは、独立系の非商業プログラマーや、Kazaaの擁する膨大な数のユーザーから自社でも利を得ようとする企業などが進めている。
「皆がその方向に進まざるを得なくなると思う」というのは、eDonkeyおよびOvernetというアプリケーションの開発者、Jed McCaleb。ネット動向を調査する会社によると、eDonkeyとOvernetのユーザー数は、米国以外ではKazaaに追いつきつつあるという。「他のネットワークをサポートするメリットはいくつかある。他のネットワークにも多くのユーザーがいるのだから」(McCaleb)
なかでも、StreamCastの今回の動きは、商用PtoPネットワークの開発者間で繰り広げられている辛らつな議論と、純粋な技術的前進との間の緊張関係を浮かび上がらせている。
StreamCastのMorpheusは、かつてNapsterに続くファイル交換サービスとしては、最も人気が高かったが、Kazaaと同じ“FastTrack”と呼ばれる技術を利用していた。そして、ソフトウェアライセンスを巡る問題が発生した後、Morpheusのユーザーは一夜にしてKazaaから追放された。その後、StreamCastはオープンソース技術に移行してMorpheusの人気は急降下し、かわってSharman NetworkのKazaaがダントツの人気を誇るファイル交換ソフトウェアとなった。
CNET Networksのアグリゲーションサイト、Download.comによると、Kazaaのダウンロード件数は累計3億1500万件以上で、一方Morpheusは1億1900万件だという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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