ソニー・講談社・新潮社などが合同で電子出版の新会社を設立

藤本京子(CNET Japan編集部)2003年11月13日 18時35分

 ソニー、講談社、新潮社、大日本印刷、凸版印刷は13日、共同で記者会見を行い、これら企業を含めた15社で電子出版事業を行う新会社を設立したと発表した。新会社の名称は「パブリッシングリンク」。2004年春から電子出版コンテンツの配信を中心とした会員制サービスを開始する予定。

 パブリッシングリンクの代表取締役社長に就任したのは、出資企業の1社である筑摩書房専務取締役および編集部長の松田哲夫氏。新会社設立後も同氏は筑摩書房での現職を兼任する。新会社設立の目的について松田氏は、「電子出版ビジネスを通して出版界が前進する仕組みを作り、活字文化の繁栄に貢献する」としている。

 具体的なサービスとしてパブリッシングリンクが準備しているのは、ポータルサイトとなるTimebook Town。ユーザーは月額料金を支払うことで、毎月5冊程度の作品を閲覧できるという。コンテンツはまずパソコンにダウンロードし、パソコン上または、ソニーが開発する専用の読書端末上で読むことができる。なお、サービスの月額料金や専用端末の価格などは未定。

読書専用端末を手にするパブリッシングリンク新社長、松田哲夫氏

 このサービスでは、汎用性の高いXMLベースのデータフォーマットで、電子出版コンテンツの制作や配信を円滑に行うためにソニーが策定したBBeB規格を採用し、多様な画面展開や朗読などの音声サポートを実現するという。また、同じくソニーのデジタル著作権管理・保護・配信技術であるOpenMGを採用し、著者、著作権者、出版社などの権利を確実に保護するという。

 講談社常務取締役の野間省伸氏は、「これまでPCやPDA、携帯電話などにコンテンツ配信を行ってきたが、どれもうまくいったとはいえないのが現状だ。その原因は著者、出版社、読者というバリューチェーンの中で、それぞれの期待するものが一致していなかったことにある。これを解決するためにパブリッシングリンクは設立された」という。また、新潮社取締役社長の佐藤隆信氏は、「今の出版業界で、辞書だけはすでに電子化が進んでいる。これも専用端末がよくできていたためだ。今回やる気になったのは、専用端末がまさに読書に適しているものだと感じたからだ」と語った。

 同様のサービスは、イーブックイニシアティブジャパンが運営する10daysboookという漫画サイトでも提供されている。10daysboookのコンテンツは、松下電器産業が開発した見開き型の専用読書端末Σ(シグマ)Bookでも閲覧可能。ΣBookは、先日体験モニタープログラムが終了したばかりだ。

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