Napsterが帰ってきた。Yahooのメールボックスからサンフランシスコの路上に貼られたステッカーまで、ヘッドホンを付けたネコをあしらった同社のロゴが巷にあふれ、同サービスのマーケティングキャンペーンが至るところで展開されている。
Napsterは、今月初めには既にその内容が公開されていたため、米国時間10月29日に始まったサービスに、特に目新しい部分はなかった。先に発表された通り、同社の無償ソフトウェアを使えば膨大な音楽ライブラリにアクセスできるようになる。1カ月9ドル99セントのサービスに加入することで、これらの曲を無制限に聞くことができるほか、非加入者も1曲99セントでダウンロードできる。
米Apple ComputerのiTunesミュージックストアや、米RealNetworksのRhapsody加入サービスなど、各音楽配信サービスの売上増加が伝えられるなかで、このNapsterのサービス開始というニュースは、オンラインリスナーの心と耳を掴むための、長く厳しい戦いの始まりを告げるものだ。今はどのサービスも大きく取り上げられているが、気まぐれなコンピュータユーザーたちが、すでに各社のサービスを隅々まで比較し始めており、これから長い期間にわたって、こうした細かなチェックに相対していかなければならない。
新Napsterは、親会社のRoxioから、開発と宣伝とに費やす数千万ドルもの膨大な出資を受けているが、そのサービスに対して下される評価が、無償ファイル交換サービス世代のコンピュータユーザーから見た、有料サービス市場の魅力を最も端的に表しているのかもしれない。
新サービスは、外観や使い勝手の一部に古いNapsterの面影を残してはいるものの、これが全く新しい怪物であることは明らかだ。Napsterは、定期利用と曲単位でのダウンロードの両方を実現した初めてのサービスだが、どちらのサービスにも値段が付いている。
しかし、同社の掲示板に書き込みを行っているユーザーは、今のところその点をあまり気にしていないようだ。大半は新サービスを称賛しており、ライブチャットやCD品質のストリーミング音楽といった新機能をいくつか求めている程度だ。
ただ、あるユーザーが、同サービスでストリーム再生した音楽を録音し、コピープロテクトを回避してMP3で保存する方法を書き込むなど、無秩序状態だった昔のNapsterを彷彿させる書き込みも、ちらほら見受けられた。同サービスからダウンロードされるデータは、別のコンピュータに複製できる回数や、読み込みできる携帯音楽プレーヤの種類を制限する、米Microsoftのデジタル著作権管理ソフトウェアで保護されている。
ところが、ほかのリスナーが、正当な対価を支払って違法行為をする必要はないと、この無償音楽マニアを即座に批判していた。
オンラインの世界では、同ソフトのなかにある潜在的に危険なバグに関する話も、いくつか浮上している。あるCNET News.com読者の話では、Windows 2000 OSで動いているPCに、Napsterのソフトウェアをインストールしたところ、後にそのマシンがフリーズしたという。同社のカスタマーサポートからは役に立つ情報を殆ど得られず、結局このユーザーはPCのハードディスクをフォーマットし直し、その過程で相当量のデータを失う羽目に陥ったとメールに記している。
もっとも、新しく始まったサービスでこうした問題が生じるのも、別にNapsterが初めてというわけではない。AppleのiTunes for Windowsソフトでも、Windows 2000で使った時にコンピュータをフリーズさせる深刻なバグが見つかっていたが、Appleは数日後にこのバグを修正するアップデート版をリリースしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」