ブロードバンドプロバイダ、米XO Communicationsのバイスプレジデント、David Schairerは、ドメイン名の入力を誤ったウェブサーファーを広告付きの自社サイトへリダイレクトする、米VeriSignのSite Finderサービスに対し苛立ちを隠せない。
VeriSignのSite Finderリダイレクトサービスについて議論する前代未聞の公開討論会が7日(米国時間)に開催された。その中でSchairerは、同サービスの影響でXOのネットワークのトラフィックが増加し、顧客の電子メールユーティリティに混乱を来たし、さらに以前はXOのネットワークに向けられたスパムのおよそ2割を遮断していたテストが無効化された、などの被害状況について詳細に語った。
Schairerは、Site Finderサーバが存在しないドメイン名宛てに送信された大量のメールが詰まった状態にあり、さらに同サーバ上では身体障害者向けに開発されたソフトウェアが機能しないと指摘する。またSchairerは、数千種類のソフトプログラムにおける類似の問題を修正するために必要な作業は、2000年問題への大規模な取り組みに比べ、範囲は狭いが内容的に似たようなものになるだろうと予想しており、インターネットに課される一種の税金のようなものだ、と語った。
インターネットドメインの監督組織Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)が主催した7日の会議では、Schairer以外の参加者からもSite Finderサービスの影響についての事例が示され、VeriSignは守勢に立たされた。米政府から.comと.netの2つのドメイン名のマスターデータベースの独占権が与えられている同社は先週、リダイレクトサービスの一時停止を発表した。
しかしVeriSignは、 ICANNのセキュリティと安定性に関する委員会(Security and Stability Advisory Committee:SECSAC)主催の公開討論会の中で、Site Finderを永久に停止しておくつもりはないと明言した。同社幹部は、Site Finderサービスの再始動を検討しているが、存在しないドメインへのメール配信のための"ワイルドカード"サービスは停止すると述べた。このサービスが停止されれば、討論会の中で指摘されたメールに関する数多くの問題が解消される可能性がある。
SECSACのメンバーでVeriSignの技術サービスを監督する立場にあるKen Silvaは、「私がプレゼンテーションで聞きたかったことは、『悪化する可能性があるものは何か』といった理論的なことだけではない」と語った。「このサービスは、すでに何週間も動いており、正直に言って、我々もユーザーも、巷から聞こえてくるような、理論的には起こりえる大惨事を経験してはいない。また批判者が主張しているような、安定を欠いた不可解な状態にもなっていない」(Silva)
ICANNがこれまで開催したことのない異例の会議を主催した目的は、SECSACに、Site Finderサービスの技術的問題についての聞き取りを行った上で、一般大衆向けの報告を準備させることにあった。同会議では法的/政治的問題は議題にされず、VeriSignの代表は議論がその方向に向かうと繰り返し異議を唱えていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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