ワイオミング大学とAudible Magicというソフト開発会社は、昨年の大半を費やし、学生がオンラインで交換するファイルのなかに、著作権で保護された音楽が混じっているかどうかをチェックする技術のテストを行ってきた。この技術は、最終的に、そうした違法なファイル転送の阻止を狙っている。
しかし、この開発作業はAudible Magicが当初に予想していたよりも難しいことがわかった。同社は米国時間10日に、このネットワークスパイ技術の一部をあきらめ、代わりに定評のあるネットワークセキュリティ会社と協力すると発表した。違法コピーを特定し、それを阻止する同社の製品は引き続き提供されるが、今後はAudible Magicと米Palisade Systemsというセキュリティ企業との共同作業になるという。
「我々が求めている帯域幅、つまりたとえばISPの枠の中で作業をするにはさまざまな問題があることがわかった」と、Audible Magic最高経営責任者(CEO)のVance Ikezoyeは述べた。
著作権で保護された作品のオンラインでの不正交換を阻止するよう開発された製品の中で、同社の製品は最も野心的なものの1つだが、プライバシーに対する懸念の点でも、最も大きな問題を抱えている製品でもある。米Packeteerのような他のサービスの大半は、転送されているファイルの中身をチェックするのではなく、ファイル交換アプリケーションで利用可能なバンド幅を制御することで、ファイル交換を食い止めようとするものだ。
Audible Magicが独自に開発した技術は、楽曲をそのデジタル「指紋」や音響特性によって識別するという。
しかし、同社の技術はPalisadeのネットワークセキュリティ技術と組み合わされると、ネットワーク管理者や著作権所有者にとって、強力な監視ツールとなる可能性がある。両方の技術を統合した製品は、ネットワーク上のすべてのトラフィックを傍受して、そのコピーを作成し、そのなかにKaZaAやGnutellaから発生しているものがないかを、絶えずチェックするようになっている。
ファイル交換ソフトから発生したデジタルパケットが検知されると、この製品はファイルの内容とAudible Magicの指紋データベースとを照合する。そして、著作権で保護された楽曲と一致していることが確認されると、たとえファイルの一部が転送済みであっても、進行中の転送作業は直ちに停止される。
業界アナリストは、この製品が大学や企業に歓迎されるとみている。しかし、一般的に加入者のプライバシー保護を優先しがちなISPに売り込むのは難しいかもしれないという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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