米国カリフォルニア州サンノゼ発――Googleがまもなく株式初公開(IPO)を行なうとの憶測が高まっている。しかし同社共同創業者Sergey Brinは、現在も株式公開の賛否を自由に議論している段階だと述べ、初公開のスケジュールは未定だと話している。
Brinは20日(米国時間)、サンノゼで開催中の「Search Engine Strategies」会議で、「わが社は黒字であり、現金は必要ない。しかし(株式会社の)透明性があるのはよいことだろう」と述べた。「しかし株式会社になるとやはり、かなり経営に心が乱されることになる」(Brin)
「だからといって絶対に株式公開しないと言っているわけではない。将来、いずれ公開する可能性は十分ある」とBrinは約400人の聴衆に向かって話した。21日に30歳になるBrinは、業界ニュースレターSearch Engine Watchの編集者、Danny Sullivanの質問に答えた。Search Engine Watchは、今年で5年目となるSearch Engine Strategies会議をホストしている。
Sullivanは、Googleや同社の株式初公開を、インターネット技術市場の救いの手だと捉えているウェブ管理者や競合検索エンジン、広告主、金融アナリストの思いを踏まえ、多数の質問を浴びせた。ウォール街やシリコンバレーは、GoogleのIPOには、IPO成功によりインターネットの注目度を一気に高めた、1990年半ばの米Netscape Communicationsのケースのような可能性がある、と期待している。Googleは世界的に敬愛され、検索エンジンへの広告収入で利益を上げていることから、同社には約20億ドルの価値がある、とアナリストらは推測する。
「Googleが米Microsoftを買収するような状況はあるだろうか? またはその逆はありえるか?」とSullivanは顔をしかめて言い、会場の笑いを誘った。
Brinは「Microsoft買収には相当な金が必要だ」と応じた。
Brinは、Googleの5年間の歴史のなかで、多くの企業が買収を申し出たことを認めた。Googleはそれぞれの申し出を真剣に検討したが、Googleは有望で、買収の可能性は低いと、Brinは述べている。
競合する検索会社の買収が続いた結果、YahooとMicrosoftとGoogleが検索サービス市場での支配権をめぐって争う形となり、MicrosoftとGoogleの合併の憶測もここ数カ月で急速に高まっている。
Googleの天分
Googleは近年、劇的に変化を遂げ、ウェブ検索エンジンだけでなく、製品やカタログ、ニュース検索のためのインデックスサービスや数式計算サービス、ポップアップ広告除去サービスなどを提供するに至っている。変貌したGoogleに対し、同社は一体技術会社なのか、メディア会社なのかと問う意見もあるが、同社は従来通り「技術をメディアに適用しようとしている」技術会社なのだ、とBrinは説明した。
Googleの最近の技術革新のなかで、何が最も重要だと思うか尋ねられると、BrinはAdSenseを挙げた。AdSenseは、ウェブページ製作者が登録すると、自分のサイトにターゲットを絞ったスポンサー広告を追加できる、という比較的新しい広告サービスだ。ページ製作者は、Googleの技術を使ってページを分析し、適切なターゲット広告のテキストリンクを追加できるようにするコードを、自分のサイトに追加できる。
「(AdSenseは)ウェブ管理者の生活を変える技術だ。趣味で金を儲けることが可能になるうえ、奇妙な広告契約を結ぶ必要はない。私は、AdSenseが次世代のウェブコンテンツ誕生に役立つことを期待している」(Brin)
BrinはGoogleが強力になりすぎたという意見に対して、人々は同社の影響力を両極端に誇張する傾向があると述べた。
たとえばGoogleは、Adwordsプログラムの顧客を検索結果で優遇しているという批判を浴びた。Adwordsはキーワード検索をターゲットとする、ペイパークリック広告プログラムだ。また、インデックスに登録されていない広告主が、Googleのアルゴリズム検索結果に掲載させるよう広告代理店に働きかけているという人々もいる。人々はこのような理由から、Googleに何らかの有料サポートを行うよう求めていた。
Brinは、そのようなソリューションには、同社が開発に専念できなくなるなどの本質的な問題があると述べた。また、企業がインデックスに有料で登録されるようになれば、検索結果が歪んでしまう恐れがある、とも述べている。
「有料登録を行なう場合は、あらゆる報酬と、検索結果とを切り離しておきたい。この2点を区別することは重要だと思う。ランキング関数を変更すると売上が変化するような仕組みにはしたくないだろう」
Brinは、同社は常に検索機能を改善していると述べた。Brinによると、同社は1カ月に6種類ほどの新アルゴリズムをテストし、その検索システムの一部を実装しているという。「我々は根本的に、世界のあらゆる知識を対象として扱っている。それにはさまざまな方法がある、というだけのことだ」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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