米国の大手投資銀行Merrill Lynchは8日(米国時間)、America Online、Yahoo、MSNなどのサイトを経由する外部電子メールサービスへのアクセスを禁止した。これは、監督機関からの要求に答え、また社内ネットワークをウイルスから守るための措置だという。
今回の社則の変更で、同社のインターネットネットワークを利用している全世界の従業員4万8000人が影響を受けることになる。同社関係者の話では、トレーディング部門などからの社外ISPへのアクセスは以前から禁止されており、今回の変更はその方針を全社に拡大したものだという。なお、米Goldman Sachsなど他の投資銀行も、類似の方針を全社的に設けている。
「この方針を全社に拡大し、例外なく適用することについて、我々は適切なことだと信じている。Merrill Lynchの施設を出入りする電子コミュニケーションが、適切な監視・監督のもとに置かれていると保証するのに役立つからだ」と、CNET News.comに転送された同社のメモには書かれている。
この社則は、社外の電子掲示板やチャットルーム、フォーラムなど、あらゆるISPアカウントへのアクセスも制限しており、前述のメモに書かれたアクセス禁止対象プロバイダーのリストには、Juno、EarthLink、Comcastも含まれる。
これに対し、米AOLや米MSNの広報担当者はコメントを避け、また米Yahooの広報担当者からもすぐにはコメントを得られていない。
しかし、今回のMerrill Lynchの動きには前例があり、他の大手企業、特に金融サービス関連の企業では、外部のWebやインターネットサービスへのアクセスを禁止している。
投資銀行や証券会社などは、AOL、MSN、Yahooのインスタントメッセージアプリケーションを使うのを抑制する対策を採ってきた。金融業界は、IMクライアントに安全性と信頼性を上げるための機能を要求し、これに応えて多くのソフトウェア開発企業が法人向けIM商品の開発を進めてきた。2002年4月には、Merrill Lynch、Salomon Smith Barney、J.P. Morgan Chase、Credit Suisse First Boston、Goldman Sachs、Lehman Brothers、Morgan Stanley、UBS Warburgといった米国大手投資銀行各社でつくるグループが、安全なIM製品の提供のために米Communicatorの技術を採用することに受けことに合意している。
YahooとMSNは、特に日中職場からアクセスするユーザーの人気を集めている。これにAOLを加えた3社は、電子メールのストレージや機能強化したソフトウェアなどのプレミアムサービスを開発し、ユーザーへの売り込みに力を入れている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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