ボストン大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)は米国時間7月22日、音楽ファイル交換(PtoP)サービスを利用した学生の氏名公表を求める米国レコード協会(RIAA)の要求に対して、直ちに応じることはできないと発表した。
Family Education Rights and Privacy Act(家庭教育の権利とプライバシーに関する法)で、個人情報を公表する前に学生に通達する義務が定められているためだという。両校とも、「RIAAの情報開示要求に異議を唱えているわけではなく、手続き上の理由のために召喚状に応じられない」と述べている。
RIAAは、PtoPサービスKaZaAのユーザーの個人情報提出を教育機関やISPに求め、今月、ワシントン州の連邦地方裁判所に1000件近くの召喚状を提出した。インターネット上の著作権侵害の撲滅を目指すRIAAは、訴訟を起こす前に召喚状を発行できる権利をすでに判決で勝ち取っている。
RIAAは両大学の発表に対しては詳しく触れなかったが、今後も証拠収集のために同様の召喚状を発するという方針を崩さないと述べた。また、8月末か9月初めには、ワシントン州で提訴を開始することを明らかにした。
米HartGregory Groupのプライバシー問題専門家のPeter Gregoryは、プライバシー保護に関心が高まっている現状では、学校側に軍配があがる可能性があるという。しかし、「いずれ教育機関は自校のコンピュータネットワークの利用法について、今より責任を負わされるようになるだろう」(Gregory)と忠告している。
法廷とISPの法律チームはここ数週間というものの、RIAAの情報公開請求の対応に追われている。連邦巡回裁判所の話では、先週末までに871件の召喚状が提出されたという。また、今後6カ月で毎週300件の召喚状が提出されると見込んでいる。
米Verizonや米America Onlineなど大手ISPの多くは、召喚状を受け取った場合、直ちに該当会員に通告し、召喚状に従うか異議申し立てを行なうかの判断を個人に任せる方針を取っている。しかし、これには時間がかかるため、RIAAとのあいだに緊張が高まっている。名誉毀損などの従来の民事訴訟では、ISPには召喚状に応じるまでに14日間の期間がある。しかし、RIAAの召喚状ではこの期間が定められていない。RIAAは当初、6日以内の回答を求めたが、徐々にこれを延長している。ISP側は当事者に通告する期間が短いと主張しているが、RIAA側はユーザーが情報公開のプロセスに関わるべきではないと反論している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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