検索技術市場で激化する特許取得争い

 ウェブ検索市場では、ウェブサイトへのユーザー集客力よりもむしろ、所有する特許の範囲で優位性が決まるようだ。米国時間7月14日に米Overture Servicesの買収を提案した米Yahooは、少なくともそう考えている。この買収が成立すればYahooは、検索結果の優先表示やクリック数に応じて広告料金を徴収するシステムと技術に関連した、60あまりの特許を獲得する。同社最高経営責任者(CEO)のTerry Semelは、「Overtureが持つ知的所有権(IP)は買収を決定する上で大きな魅力となった」と述べている。

 各種調査によると、検索技術市場の売上高は2005年に40億ドルに達するという。業界が成熟するにつれてシェア争いも激化し、検索関連企業はIPに関する弁護団の強化を図るようになる。米Bancorp Piper Jaffrayのアナリスト、Safa Rashtchyは「Yahooは他社よりIPの問題に重点を置いている」と指摘する。

 Overtureはライバルの米Googleと米FindWhatそれぞれに対して、特許侵害訴訟を起こしている。成果に応じて課金する広告システムや検索結果表示順位を販売するOvertureのビジネスモデルは、当初は受け入れられなかった。やがて米America Online(AOL)やYahoo、米MicrosoftのMSNなどが顧客につくようになったが、AOLは先頃、OvertureからGoogleに乗り換えてしまった。Overtureは市場シェアを死守するべく、積極的に自社特許を保護する方針を取っている。Overtureの関係者によると、同社がノルウェーのFast Search & Transferのウェブ検索資産や米AltaVistaを買収する際に、特許が大きな決定要因になったという。

 YahooやOvertureだけでなく、競合他社も特許取得に注力し始めている。Googleは今年初め、検索キーワードに関連したウェブページを特定する技術で特許を取得した。Microsoftも検索技術関連の特許を所有している。また、オンライン販売大手の米Amazon.comも検索結果に対応した広告システムに関する特許を出願中だ。

 しかし米国特許商標局は最近、ビジネスモデルに対する特許は過度に広汎だという批判を受けているため、多数のビジネスモデルの特許承認を控えている。

 特許をめぐる争いは勝訴が難しいが、特許の強制力が不明確だからこそ、各社は競合他社から特許侵害訴訟を起こされることのないよう、防衛手段としてまず特許を取得しようとする。しかし、「検索技術の特許争いは技術進歩を妨げる可能性がある」という懸念の声も上がっている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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