米Netscape Communicationsは米国時間6月30日、最新版ブラウザ「Netscape 7.1」をリリースした。ナビゲーションを向上し、スパム防止などの機能を拡張したという。しかし、Netscapeの共同設立者のMarc Andreessenはリリースに先立ち、「ブラウザの革新は瀕死状態だ」とコメントしている。
Netscape Communicationsは米AOL Time Warner傘下の組織だが、現在、その9年間の歩みの中でも不安定な時期にあるといえる。立ち上げ当初、インターネットをベースに米MicrosoftのOSをうまくかわす存在と期待されたNetscape Communicationsとそのブラウザだが、MicrosoftのInternet Explorer(IE)がブラウザ市場で圧勝を収めてからは、崖っぷちに追い込まれてしまった。
さらに親会社のAOL Time Warnerが、反トラスト法訴訟で争っていたMicrosoftと7億5000万ドルで和解し、それにともなってIEの7年間無償ライセンスを獲得している。このため、「Netscapeは、AOL Time Warnerの時間と資金をつぎ込む価値があるものなのか」との声も挙がっている。
現在は米Opsware会長を務めるAndreessenは、「Netscape Communicationsの士気は今後も高まりそうにない。またAOL Time Warnerの幹部に対して、Netscape Communications部門の存続は見返りがあると説得する意欲もないだろう」と語る。
先週ロンドンで開催された会議の場で、Andreessenは「過去5年間、Netscapeブラウザは何の目新しさもみられなかった。今後5年間も変わることはない」と語り、Netscapeブラウザの現況を「見苦しい」と切り捨てている。
ブラウザ市場全体に向けたAndreessenのコメントは、競争相手のMicrosoftにも同様に当てはまる。Microsoftは最近、IEスタンドアロン版の提供を間もなく終了し、Mac版IEの開発を中止する計画を発表した。一方で、ブラウザを開発するその他の小規模企業も、パソコンのウェブ閲覧で新たな方法を見出すのではなく、パソコン以外の最新の装置/アプリケーション向けに、ブラウザの開発を行っている。
Netscape 7.1は、英語以外の言語で記述されたドメインの対応、ベイズ分析による受信メールのスパムフィルタリング、ポップアップ広告の制限といった機能が主な特徴だ。AOL Time Warnerが資金提供するオープンソース開発グループ、Mozillaが6月30日にリリースしたMozilla 1.4をベースにしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」