デジタルサイネージネットワーク推進協議会は3月23日、総務省のICT先進実証実験事業プロジェクトの1つである「通信・放送の融合・連携時代に対応した次世代デジタルサイネージモデルの確立」に向けた実証実験の成果を発表した。
同協議会は、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)とNTTドコモ、UQコミュニケーションズ、ネクストウェーブ、デジタルサイネージコンソーシアム(DSC)、エフエム東京、博報堂の7社で構成。(1)デジタルサイネージのネットワーク化、(2)デジタルサイネージネットワークを流通するコンテンツ形式の汎用化、(3)デジタルサイネージと携帯端末との連動によるコンテンツ配信およびその評価について、2009年から実証実験を実施している。
今回の記者発表会では、NTT ComとNTTドコモ、UQコミュニケーションズの3社が実証実験の成果を公開した。
NTTドコモは、半径数十m程度の範囲に携帯電話の通話エリアを構築できる「ファムトセル」を使った、携帯電話とデジタルサイネージの連動実験を発表した。ユーザーがファムトセル圏内に入ると自動で専用アプリが起動し、同時にデジタルサイネージのコンテンツがユーザーの好みに合わせたものに切り替わる。携帯電話をリモコン代わりにしてデジタルサイネージに表示されるコンテンツを選べる仕組みになっている。
利用するには、自身の趣味や好みなどをあらかじめ専用アプリに登録しておく必要がある。コンテンツは電子クーポンや商品動画、レシピなどが用意されており、携帯電話にダウンロードできる。広告主はユーザーに対してターゲットに合った商品訴求ができるとともに、ユーザーごとの流入経路や滞留時間、行動履歴や購買履歴を測定できるとしている。
UQコミュニケーションズは、車にデジタルサイネージ用のモニタを設置し、WiMAXとGPSを使って現在地に紐付いたコンテンツを配信するモデルを紹介した。同社は2月、秋葉原から品川までタクシーで移動すると想定した実験を実施。秋葉原、日本橋、銀座の各エリアにある飲食店などがリアルタイムでモニタに表示されるというもの。モニタと共に設置したFeliCaポートに携帯電話をかざすと、ユーザーがあらかじめ登録したプロフィールや目的地に合わせた詳細な情報を取得できる。
NTT Comは、異なるメーカーのデジタルサイネージシステムを統合して、柔軟なコンテンツ配信の実現に向けた実験を実施した。統合配信サーバにより、各社のインターフェースを共通化し、複数のデジタルサイネージサーバを制御する統合配信システムを構築。各社のデジタルサイネージシステムに一括してコンテンツを配信できるようにした。
デジタルサイネージネットワーク推進協議会 座長の菊池尚人氏は、「今後、広告の取引基準の設定やシステムの仕様、規格の統一などが進み、デジタルサイネージの普及はさらに加速するだろう」とコメント。今回の実証実験の結果は、DSCの会員企業171社(2月26日時点)を対象にシステムの標準化やガイドラインの作成に向けフィードバックするとしている。
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