Microsoftは、同社のクラウドOSが絵空事ではないことを人々に納得してもらおうと努めている。
ソフトウェア大手のMicrosoftは、2008年10月のProfessional Developers Conference(PDC)で「Windows Azure」を発表した。それ以来同社は、Azureの構成要素は2009年内に最終的な形で用意できると述べているが、現段階でのAzureの状況についてはほぼ沈黙を守ってきた。
3月第1週に行われた電話インタビューで、Microsoftのシニアディレクターを務めるSteven Martin氏は、Azureユーザーは日々増えていると述べたが、現時点におけるサービスの利用者数は明らかにしなかった。
「われわれが承認を与える開発者の数は、日を追うごとに増えている」(Martin氏)
Microsoftはさらに、ストレージモデルを変更するとともに、リレーショナル機能を加えるため、Azureで提供するデータベースサービスのセットを拡大することを確約した。Azureのコードのアップデートは1月にリリースされており、同社では米国時間3月18日から20日にかけてラスベガスで開催されるMIX 09カンファレンスで計画の詳細を明らかにする予定だ。
Azureが一筋縄でいかないのは、頭で理解しにくいことも原因だ。
GartnerのアナリストDavid Smith氏も「今ではMicrosoftの発表の内容を多くの人が理解している」としたうえで「理解には数週間を要した」と指摘した。
だが、Azureを理解しようと多くの人たちが今でも頭をひねっている中、一部の企業はAzureで実際に用いるコードの作成を始めている。
ビジネスソフトウェアメーカーのEpicor、S3Edge、Micro Focusといった企業は、Azureの初期ユーザーだ。Microsoft自体も、「Live Mesh」と「LiveMeeting」の両サービスにAzureを利用している。
Martin氏はさらに、かなりの数の大企業が自らAzureの性能を確認し、社内で使用しているアプリケーションの中にMicrosoftのサーバを利用した方が合理的なものがあるか、あるとしたらそれは何か、といったことを把握しようと努めていると述べた。
「Azureの採用を公言しているのはパートナーや(独立系のソフトウェアベンダー)が多いが、Azureを日常的に利用している多くのユーザーは、実際にはこの技術を試験採用しているか可能性を探っている最中の、中規模以上の企業だ」(Martin氏)
企業資源計画(ERP)ソフトウェアを開発しているEpicorでシニアディレクターを務めるErik Johnson氏は、顧客側に配備する従来型のソフトウェアの姉妹版サービスを提供する手段としてAzureを試しているところだという。携帯電話は会社のファイアウォールを越えて社内システムに入るのが難しいので、特に携帯機器においてAzureは理にかなった選択肢だとJohnson氏は説明する。
だが、大きな不確定要素は、MicrosoftがAzureの利用料金をいくらに設定するかだ。同社ではこれまで、他のクラウドコンピューティングサービスと競争力のある価格にするとしか述べていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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