Adobe Systemsは米国時間7月1日、「Adobe Reader 9」をリリースした。歴代のReaderアプリケーションで初めて、動画やアニメーションを「Portable Document Format」(PDF)の中で再生することが可能になっている。
ユーザーはReader 9により、「Flash」を使った動画や「Shockwave」を使ったアニメーションをはじめ、さまざまなリッチメディアアプリケーションを、サードパーティのプレーヤーを起動させることなく再生できる。
広く普及している無料アプリケーションのAdobe Readerは、今回の新バージョンにより、PDFに新たな次元の双方向性をもたらしている。これに対して従来のバージョンは、動的なフォームは扱えたものの、見た目通りに印刷できるPDF文書を開くことを主目的として提供されてきた。
Reader 9はバージョン8より起動が速くなるとみられ、Readerのせいでネットサーフィンが遅くなると感じていた多くのユーザーの不満を解消するだろう。
Adobeの説明によると、Reader 9は、万能型のメディアプレーヤーへと至る可能性も秘めているという。なお、PDFファイルへの動画やアニメーションの埋め込みは、2008年6月に299〜699ドルの価格帯でリリースされた「Acrobat 9」を使うと可能になる。
PDF作成ソフトウェアのAcrobat 9では、動画やアニメーションのほかにも、さまざまなコンテンツを格納できる。カスタムメイドのアプリケーションのほか、一般的なフォーマットで作成された、地理情報データを含む地図、3Dモデル、画像、ワープロ文書、スプレッドシート、プレゼンテーションなどの埋め込みが可能だ。最も価格の高い「Pro Extended」バージョンでは、複数のビデオ形式をFlash形式に変換することもできる。
Acrobat 9とReader 9では、デジタル署名と256ビットのAES(Advanced Encryption Standards)標準の暗号化をサポートするなど、セキュリティも強化されている。
Adobeはまた、2008年6月に立ち上げた「Acrobat.com」を通じて、オンラインワードプロセッサとウェブ会議ツールを提供している。ユーザーは、同一のドキュメントを他者とリアルタイムで共有して、編集やコメント添付といった共同作業を行えるほか、ドキュメントをPDFに変換することもできる。
Adobe Reader 9をダウンロードして使用するには、Windows版、Mac OS版ともに128Mバイト以上のRAMが必要で、「Windows 2000 SP 4」以降のWindowsを搭載するPCか、「Mac OS X 10.4.11」以降を搭載する「Power Mac G4」より新しいApple製コンピュータで利用できる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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