しかし、CS4が2010年ごろまで持ちこたえなければならないと考えるのは理不尽なことではない。そのころになればPCに8Gバイトのメモリが搭載されるのが当たり前になり、Mac版とWindows版のPhotoshopの差はさらに顕著になっている可能性が高い。特に、すでに64ビット版の「Photoshop CS3」を欲しいと思っていたユーザーにとってはその差はなおさら大きく感じられるようになるのだろう。
Macユーザーにとって幸運なことは、Intelベースのマシンではデュアルブート構成または仮想化ソフトウェアによってWindowsを使用できるので、Adobeが寛大なライセンスを許可してくれれば、それによってユーザーは乗り切ることができるかもしれないということだ。
Appleは2007年6月、同社のWorldwide Developer Conference(WWDC)で技術計画を発表した。Adobeは、CS4をMac用に64ビット化させることをこの時まで計画していた、とNack氏は述べる。
Appleは、CarbonとCocoaという2つの技術を提供し、メモリ、フォント、ウィンドウの管理などのOSサービスをプログラマーが利用するのを支援している。Appleは当初、両方を64ビットで利用可能にする予定だったが、WWDCでCocoaだけを対応させると発表した。
Photoshopは、Carbonを使用して書かれている。Carbonは、Mac OS 9時代に端を発し、クロスプラットフォームプログラミングに適している。一方、Cocoaは、Mac OS X同様、Jobs氏の以前の会社であるNextstepに端を発している。
「AppleがCarbon 64を選択しなかったため、ロードマップの見直しが必要になった」とNack氏は述べる。そして、Adobeは、Cocoa化のため新しいプログラマーを直ちに割て、「できるだけ早く移行できるようにした。しかし、ことわざにあるように、女性を9人そろえても、子供が1カ月で生まれてくるわけではない。一定のペースでしか物事は進まない」と同氏は述べた。
Carbonの機能を使う、または、やりとりするコードの量は多く、約100万行はあり、すべてに対して少なくともレビューが必要だ、とNack氏は述べる。そして、現在でさえ、「どのくらいのコードを書き直す、または、手をつける必要があるかは把握されていない」(Nack氏)
CarbonからCocoaへの移行はとても大規模で、計画を数カ月延期した、とNack氏は付け加える。
「Apple、Adobe、Microsoftの誰もPhotoshop規模のアプリケーションをCarbonからCocoaに移行したことはない」とNack氏は述べる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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