日立製作所の傘下でハードディスクドライブ(HDD)事業を手がける日立グローバルストレージテクノロジーズ(日立GST)は日本時間10月15日、世界最小のハードディスク用磁気ヘッドの基本技術を開発したと発表した。
日立GSTの最高技術責任者(CTO)であるJohn Best氏によると、この新型ヘッドが予定通り2011年前後に実用化できれば、HDDの高密度化を進められるという。既存のデスクトップ用HDDでは、1テラバイトというのが最大容量だ。
垂直磁気記録-巨大磁気抵抗(CPP-GMR)方式という立派な名前のついた新型ヘッドを利用すれば、2011年には記録容量4テラバイト、ノートパソコン用でも1テラバイトのHDDが製造可能になる。
CPP-GMR方式のドライブでは、磁気ヘッドの構造が大きく変わる。現行のドライブに採用されているトンネル磁気抵抗(TMR)方式のヘッドは、絶縁膜を2枚の強磁性膜で挟んだ構造をしている。ここに電圧をかけると、トンネル効果によって絶縁膜に電流が流れる。強磁性膜の磁石の向きによって電気抵抗が大きく変わる現象を利用して、信号の1と0を検出する。
記録密度(記録媒体1平方インチあたりに記録できるデータ量)を高めるためにはヘッドを小型化する必要があるが、困ったことに、ヘッドを小型化すると電気抵抗が大きくなり、その結果、ノイズが増えて性能低下を招いてしまう。記録密度が1平方インチあたり500Gビットを超えると、TMR方式のヘッドは信頼性が低下するおそれがある(現行のHDDでは、1平方インチあたり200Gビットが最大)。
CPP-GMR方式のヘッドでは、絶縁膜の代わりに非強磁性膜(通常は銅が使用される)を強磁性膜で挟み込む。電流は膜面に対して水平ではなく垂直に流れるため、抵抗が抑えられ、ヘッドの小型化が可能となる。
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