Hewlett-Packard(HP)によれば、従来のいわゆるデスクトップPCが今すぐに消滅するというわけではない。しかし、その様相は変化しつつあるという。
消費者や中小企業のあいだでは、ノートPCの人気が増しているが、比較的大規模な企業が購入するのは相変わらずデスクトップPCが多い。
HPの欧州パーソナルシステムグループで商用製品担当のゼネラルマネージャを務めるAlberto Bozzo氏は、ニューヨークでの新製品発表に際して次のように語った。「実際には、デスクトップPCは消滅していない。ただし、(これまでとは)別のものに形を変えようとしている」
Bozzo氏によると、デスクトップPCの革新は、シンクライアントやブレードサーバ、ブレードPCといった仮想クライアントテクノロジの形をとるという。「これがデスクトップの向かう先だ。(仮想化は)今はまだ小規模だが、これからの技術だ。絶対的な普及数から見れば小さくても、有望なのは間違いない」(Bozzo氏)
たとえば、金融情報サービス市場や石油およびガスの探査市場、デジタルコンテンツ作成市場などで、ブレードサーバーの採用が進む可能性が最も高いと、Bozzo氏は指摘する。
IDCのパーソナルコンピューティンググループ調査ディレクタ、Karine Paoli氏は、ノートPCは所有、メンテナンス、購入にかかるコストが高いため、大企業向け市場におけるシェアは、今後も中小企業や消費者向け市場ほど高くなることはあり得ないと言う。デスクトップパソコンは、これからもエンタープライズ市場で主要なコンピューティングプラットフォームであり続ける、というのが同氏の見解だ。
だからこそ「商用デスクトップにおける革新は重要なのだ」とPaoli氏は説明する。
一方、シンクライアントは、今のところ小規模ではあるが、金融情報サービスや医療関連市場などで関心を集め、成長しつつある。
ニューヨークでのイベントで、HPは多数の企業向け製品を発表した。そのなかには、小型のフォームファクタPCや企業向けノートPC、ワークステーション、同社のブレードワークステーションに追加して用いるテクノロジ、スマートフォンを含む5種類の携帯端末「iPAQ」などがあった。
たとえば、同社のスマートフォン「iPAQ Business Navigator」および「iPAQ Business Messenger」は、3GおよびWi-Fiが利用可能だ。さらにGPSが内蔵されているので、「Google Maps Mobile」などの位置情報サービスも利用できる。Google Maps Mobileは両スマートフォンにあらかじめインストールされている。HPはまた、企業の携帯端末管理を助けるツールも新たに発表した。役員が利用する多種多様な機器を管理しようと悪戦苦闘している企業のIT部門にとって、これらのツールはHPの新製品の購入を後押しする決め手になるだろうと、同社では期待している。
「通信機能を備えた多機能携帯端末の問題点は、いまだにIT部門によって統合管理されていないということだ。多くの企業では、今なおそうした機器をIT部門でサポートしていない。そして今、こうした状況がようやく変わりつつある。しかし、ノートPCでさえ、ごく最近までは(IT部門で)正しく取り扱われていなかった。したがって、そう簡単にはいかない」(Paoli氏)
Paoli氏はさらに「HPはここにきて、Nokiaおよび(『BlackBerry』のメーカーの)Research In Motion(RIM)に対抗する構えだ。だが、NokiaおよびRIMは、より洗練された機器を作ろうと取り組みを進めている。したがって、HPの挑戦は非常に厳しいものになる」と指摘した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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