7月第4週に入って、Intelの研究者が40Gビット/秒のデータ伝送が可能なシリコンモジュレータ(変調器)を披露した。これまでの最速記録を塗り替えるこの速度は、光ファイバ配線を搭載したコンピュータの実現が近いことを意味するものだ。
モジュレータは、もともと光ファイバ産業で用いられてきた部品だ。その原理は、レーザーの光を細かく点滅させて光の点を作り出し、最終的には「0」と「1」の2進数として、コンピュータに認識させるというものだ。現在、コンピュータ(とチップ)は金属製ワイヤを用い、信号を電子で伝達している。ただし、金属製ワイヤは熱を発するため、コンピュータ内でエネルギー不足が生じる原因にもなっている。
一方、光ファイバはデータを光子で送る。これは電子より高速で、発熱もない。では、問題はないのかというと、そうではない。これまで、光ファイバネットワークを構成する部品は、高価で大きいうえに、扱いが難しいのが泣き所だった。チップのエンジニアが、光ファイバの製造工程を「黒魔術」と呼ぶこともしばしばだ。
この数年間、Intel、Primarion、IBMといった企業が、光学部品を標準的なシリコン製造ラインで大量生産する方法を考案してきた。モジュレータやレーザー装置といった部品については、試作品が作られている(われわれも2001年から記事で取り上げている)。
Intelはまず、2004年に1GHzのシリコンモジュレータを発表し、その1年後には10Gビット/秒にまで高速化された。さらに、今回のモジュレータは4倍の量のデータを伝送可能なうえ、消費電力は少なく、サイズも小さくなっている。また、コストも低く抑えられる可能性がある。
では、どのような仕組みになっているのだろう? プロジェクリーダーのAnsheng Liu氏が、ブログの中で以下のように説明している。
「マッハツェンダー干渉計を通る光の強さは、干渉計の2本のアームのあいだの位相差を調節して変調される」とLiu氏は言う。これでおわかりだろうか。「マッハGoGoGo」レベルの私の科学理解を超えているが、ともかく、私はLiu氏の言葉を信じることにしよう。
Intelをはじめとする企業は、2010年が近づくころにはコンピュータへ光学部品が組み込まれるようになる可能性があると予測している。当初、光学部品は個別のチップとして導入され、その後チップ内に組み込まれる見込みだ。こうした技術が実用化されれば、最終的にはカメラ、MP3プレーヤー、コンピュータの高速化に役立つとみられる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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