「Vista」の仮想化における制約を解除しないというMicrosoftの決定に多くの人々が悩まされている中、ある読者が興味深い理論を提示してくれた。
Microsoftは先週、Windows Vista Homeを仮想マシン上で利用可能にしようとしていた最中だったにも関わらず、突然予定を変更し、Vista BusinessとVista Ultimateのみを仮想マシン内で稼働可能とすることにすると述べた。なぜMicrosoftはそのような決断を下したのだろうかと、多くの人々が落胆し困惑している。
サンディエゴ在住の開発者Floyd James氏は、仮想化によりMicrosoftのWindows事業はさらに利益を上げることになる一方で、OSが中心的な存在ではなくなるという傾向も増長することになるため、現状を維持したいというのが同社の今回の決定の理由であると推測する。
James氏は電子メールで、「これはつまり、Windowsの代わりに他のOSが直接ハードウェア上で稼働することを意味するため、そこに今回の決断の原因がある」と述べた。「Microsoftは市場を支配しており、他のOSをハードウェア上で稼働可能とし、Windowsの低価格版を互換性を持つ層として利用可能とすることで他OSへの移行手段を提供することは、自社の市場の独占および支配状態を保護することにならない」(James氏)
Windowsとの互換性を提供する仮想マシンソフト「Parallels」に対するMacにも同様のことがいえる。
James氏は「MicrosoftがWindowsの勢力を保護するためにならばどれだけの費用を費やしてもよいと思うのも非常にもっともな話である」と記している。「Microsoftの支配下から逃れようとする人々にとって仮想マシンは移行のためのツールなのだから」(James氏)
Microsoftは、今回の決定の理由に関してはコメントを避けた。
一方GartnerのアナリストであるMichael Silver氏は、制約を設け続けているとしてMicrosoftを批判した。
Silver氏は電子メールで、「Microsoftの決断は、顧客らにさらなる出費を強要するものだ」と述べた。顧客らは、仮想化マシンでは動作しないことの多い「Aero」ユーザーインターフェースなど、その機能はあまり必要ないにもかかわらず、より高額なエディションを購入しなければならなくなるとしている。
Silver氏は、Microsoftは利益を上げる機会をみすみす逃しているのではないかと論じている。「より低価格(のエディション)を利用可能とすれば、MicrosoftのOSを(例えばMac上などの)VM内で合法的に利用するユーザー数は増加して、より高い利益が得られることになる可能性は高い」と同氏は記した。「最終的にはMicrosoftも仮想化と同調していかざるを得なくなるであろう」(Silver氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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