GMOインターネットグループの日本ジオトラストは5月30日、社名をグローバルサイン株式会社に変更し、「GlobalSign」ブランドのサービスを7月2日から提供することを発表した。
日本ジオトラストは米GeoTrustとの業務提携のもと2003年5月にサービスを開始して以来、日本におけるSSLサーバ証明書のシェアを4年間でほぼ0%から約30%にまで伸ばし、ベリサインに次ぐシェア2位を確保してきたという。
しかし2006年9月に米VeriSignがGeoTrustを買収したことから、再び市場が寡占状態になり、適正価格でのサービス提供が困難となる可能性が出てきた。しかも両社は米国では親子関係にありながら、日本では競合となってしまう。そこで日本ジオトラストは2006年10月にベルギーの認証局であるGlobalSign NVを子会社化。今回、GlobalSignブランドでのサービスを日本市場およびワールドワイドに販売開始することとなった。
今回の記者発表会はベルギー大使館で行われ、冒頭では臨時代理大使のWillem Van de Voorde氏がベルギーにおけるGlobalSignの実績をアピールした。
それによれば、ベルギーは世界有数の電子政府であり、12歳以上の全市民がGlobalSignの認証するIDを保持しているという。同氏は「GlobalSignのサービスが世界で提供されることを誇りに思う」と述べた。
日本ジオトラストはこれまで米GeoTrustの日本における独占販売を行う代理店という立場だったが、GlobalSignを手に入れたことで電子証明書の「認証局」となった。今後は各国の顧客ニーズに合わせた新しい認証サービスを立ち上げることも可能だ。
国内では7月2日からグローバルサインとしてサービスを提供することが決定している。従来から販売していた企業認証サーバ(OV)に加え、ドメイン認証(DV)サーバ証明書もリリースする。
同社が世界初となる新サービスも用意した。すべてのSSLサーバ証明書が、40bitに制限されたブラウザでも強制的に128bit暗号通信が行える特殊な証明書「SGC」に対応している。また、証明書の有効期間指定、有効開始日を指定した事前発行など、柔軟な運用も可能だ。さらにサービス開始当初からAPIを提供し、多様なアプリケーションと連携する試みを推進する。
2007年中には、より確実なサイト認証を可能にする「EV SSL」や、SSLサーバ証明書発行の管理ツール「SSLマネージドサービス」、プログラムの開発・配布元を認証する「コードサイニング」、PDF向け電子証明書「Adobe CDS」などを提供する予定だ。
グローバルでは日本のほかにベルギーとロンドンに現地法人を置く。サーバ証明書の発行はベルギーで行い、ロンドンと日本の拠点がそれぞれヨーロッパ、アジアでの営業活動にあたる。来月には北米市場に向けて米国ポーツマスにも拠点を開設する予定で、今後は中国にも拠点を置く計画だ。
GMOグループにとってこのような世界展開は、昨年の買収劇が起きるまでは想定していなかったことだ。
GMOインターネット 代表取締役会長兼社長の熊谷正寿氏は「去年までは国内の足場をまず固める方針だった。GeoTrustがVeriSignに買収されたため、急遽セキュリティ分野のみ世界戦略を取ることとなった。」と述べた。
ただ、世界のセキュリティ市場は日本国内に比べ3倍から5倍の規模があると大きな期待を寄せており、グローバルサインは来年中に海外売上を日本より多くすること、年率50%以上の成長させることを目標としている。その上で3年後にはグローバルで35億円以上の売上を目指すという。
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