サン、次世代チップ「Rock」で16コア搭載--業績回復の起爆剤となるか

文:Stephen Shankland(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2006年12月11日 13時00分

 カリフォルニア州サンフランシスコ発--マルチコア処理を以前から積極的に支持してきたSun Microsystemsが、ハイエンドチップの「Rock」に16コアを搭載して業界を一歩リードしようとしている。

 熱問題でチップの速度が頭打ちとなっていることから、チップメーカー各社は1枚のシリコンに複数の処理エンジンを搭載する形でパフォーマンス向上を急いでいる。Sunは他社に先駆け8コア搭載のUltraSPARC T1「Niagara」プロセッサを投入しており、Rockの投入によって他社を一歩リードできるようになると思われる。

 Sunのシステム業務担当エグゼクティブバイスプレジデントJohn Fowler氏は米国時間12月7日、Rockが16コア搭載になることをインタビューで明らかにした。アナリストによると、Rockベースのサーバは2008年発売予定で、競合各社のチップが最大で8コア搭載になることを受けての登場になるという。パフォーマンスの大幅な向上は、Sunの影響力低下とSPARCプロセッサファミリーのシェア縮小の状況を逆転させるためにきわめて重要となる。SPARCは、IntelやAdvanced Micro Devices(AMD)が投入する主流x86チップや、IBMのPowerファミリーといったライバルチップにシェアを奪われている。

 Insight64のアナリストNathan Brookwood氏は、「Sunは、マルチコアのアプローチを明らかに一歩進めてきた。NiagaraやNiagara 2でも、どのメーカーよりも先行していた。今回の動きは、これまでの経緯を見れば当然のことだ。16コアとなり、各コアで複数のスレッド(独立した命令シーケンス)を実現すれば強力な製品になる」と語っている。

 ここ数年のサーバは複数のプロセッサを搭載してきており、16コアデザインを持たない競合ベンダーがSunに全く対抗できないわけではない。しかし、プロセッサ1基あたりのパフォーマンスが上がれば、複雑な今日の問題の影響を受けず、データセンターで発熱の問題に悩まされることもなく、プロセッサやシステムの製造コスト削減およびパフォーマンス向上に結びつく。

 Sunの設計主任Marc Tremblay氏は6日に当地で行われた会合のなかで、Rockの「テープアウト」(設計完了のマイルストーン)が数週間後に迫っていることを明らかにした。同社は現在コンテストを開催している。Sunのエンジニアが12月31日までにテープアウトできなかった場合、全員が罰として正装でネクタイをしなくてはならない。Tremblay氏の想像では、設計者の多くはこれらの持ち合わせがないという。

 競合各社のなかでは、Intelが2つのシリコンチップを1つのプロセッサパッケージに収めて4コアのデザインに移行したばかりで、1枚のシリコンに4コアを搭載するAMDの「Barcelona」は2007年中旬に出荷が予定されている。Brookwood氏によると、競合各社の一部は2008年に8コアデザインをリリースできるようになるが、16コアは無理だろうという。

 IntelのItaniumファミリーはデュアルコアを実現したばかりで、マルチコアに関して余裕の動きを見せている。マルチコアの草分けであるIBMから2007年に出荷が予定されているPower6でさえ、まだデュアルコアだ。一方、2008年に出荷が予定されている富士通のSPARC64プロセッサは4コアとなる。

 しかし、コアを正確に定義するのは難しい。SPARCの前総責任者David Yen氏は、Rockの一部の機能は複数のコアで共有されており、境界はややあいまいだ、と以前明かしている。

 451 GroupのアナリストGreg Quick氏によると、何年も前からの延期の繰り返しとSPARCプロセッサ事業の失策からSunのチップは評判が低迷していたが、Niagaraをスケジュール通りに出したことで多少の回復が見られるという。もしRockの著しいパフォーマンス向上を顧客に示せれば、Sunは既存客のSunサーバ離れだけは食い止められるはずだ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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