オフィスのペーパレス化に向けたコンピュータ業界の取り組みは、いまだに道の途中だ。一方、2007年に登場する見込みの新しい短距離無線通信技術によって、わずらわしいケーブルから解放されたデスク環境は、ついに実現するかもしれない。
コンピュータ業界と家電業界は、「iPod」からキーボードに至るあらゆる機器とパソコンを接続するため、現在広く使われているUSBケーブルに代わる接続方法として「Certified Wireless USB」と呼ばれる新たな接続規格について協議を続けている。だが、残念なことに事態はなかなか進展せず、この企画の製品化を目指す多くの企業を悩ませている。
本来の予定では、2006年末までには、デスクの上で絡み合っているたくさんのケーブルを一掃してくれる製品がついに市販されているはずだった。
規格策定の遅れには、いくつかの要因が絡み合っている。WiMedia Allianceは「ウルトラワイドバンド(UWB)」という名前で知られるこの技術について、パソコンやプリンタから外付けハードディスクやMP3プレーヤーまで、さまざまな一般消費者向けのエレクトロニクス機器の接続に利用しようと計画している。USB Implementers Forum、1394 Trade Association、ならびにBluetooth Special Interest Group(SIG)といった団体が、次世代のネットワーク技術の基盤としてWiMedia Alliance版のUWB技術を採用する意向を示している。
UWB技術では、3m前後の接続距離であれば最高480Mbpsの速度でデータをやりとりできる。ただし、この速度は距離が離れるにつれて減少し、約10mを超えると接続できなくなる。実効速度はおそらくもう少し遅くなると思われるが、それでもこれは有線規格のUSB 2.0とほぼ同じ速度であり、現在のWi-Fi接続で実現しているデータ転送速度よりはるかに速い。
この新世代のワイヤレス技術を評して、Endpoint Technologies AssociatesのアナリストRoger Kay氏は「まるで配管のようだ」と述べている。「実用化されれば、デスクの周りをはい回るたくさんのケーブルを一掃するのに役立つ重要な技術になるはずだ」
しかし、次世代技術の多くがそうであるように、短距離型の高帯域無線通信も規格の策定に時間がかかっている。進展が遅れている理由の1つは、Intelが主導するWiMedia Allianceと、Freescale Semiconductorが主導するUWB Forumが、UWB技術を業界標準規格として実装するにあたり、激しく争っているからだ。WiMedia Allianceは、ソニー、Texas Instruments、Hewlett-Packard、サムスン電子といった企業も支持しており、これらの企業はCertified Wireless USBというブランド名でチップや機器の販売を推進しようとしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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