Intelが導入の準備を進めているチップ間通信技術は、ライバルのAdvanced Micro Devices(AMD)に最近の一連の成功をもたらした手法によく似ている。
Intelが最近市場に披露した競争力のある新チップをサーバの頭脳にたとえるなら、共通システムインターフェース(CSI)はその神経系だ。同社が2008年に導入を予定しているCSIでは、プロセッサが他のプロセッサと、またプロセッサがコンピュータの他のコンポーネントと、新たな方法で通信できるようになる。
IntelはCSIとともに統合メモリコントローラも導入する予定だ。これは独立した補助的なチップではなく、メインのプロセッサに組み込まれる。このことによってメモリのパフォーマンスが高速化し、新たな通信システムにも適合するものと、Intelは期待をかけている。
CSIと統合メモリコントローラを組み合わせれば、Intelは待望のカウンターパンチをAMDに繰り出せるかもしれない。AMDは2003年、「Opteron」および「Athlon 64」プロセッサに統合メモリコントローラと高速インターコネクト技術HyperTransportを導入している。あわせて「Direct Connect Architecture」という名称で売り出されているこれら2つの通信技術が、プロセッサコストの低減化とチップパフォーマンスの向上をもたらしたことから、AMD製プロセッサは4大サーバメーカーに採用され、競争を勝ち抜いてきた。
Insight 64のアナリストNathan Brookwood氏は、人気テレビドラマ『CSI:科学捜査班』を引き合いに出し、「『CSI』がCBSの視聴率に貢献したように、Intelはサーバ分野でCSIが業績に貢献することを望んでいる」と語った。
IntelはCSIに関して、固く口を閉ざしてきた。しかし、Intelのデジタルエンタープライズグループでゼネラルマネージャーを務めるTom Kilroy氏は、最近のCNET News.comによる取材の中で、いくつかの点について認めた。さらに、2008年にリリース予定のItaniumチップ「Tukwila」(開発コード名)でCSIがデビューすることを切望しているサーバメーカーからも、ちらほらと情報が出始めている。
CSIがもたらす大きな変化は2つある。まず、Intelが現在プロセッサ間通信に使用しているフロントサイドバス(FSB)に比べて、プロセッサのパフォーマンスが飛躍的に向上することだ。
HPのビジネス・クリティカル・サーバ・グループでゼネラルマネージャを務めるRich Marcello氏は、「パフォーマンスの面だけを見ると、TukwilaとCSIが登場し、当社のシステムに導入された転送方式の利点を実際に引き出せるようになれば、じつにすごいことになるだろう」と述べている。
CSIを利用すればTukwila世代のサーバのパフォーマンスは倍加するだろう、とMarcello氏は指摘した。
2つ目の変化は、CSIの登場によって、Itanium搭載サーバを設計する場合にも、現在主流となっているXeonを搭載したサーバの技術を利用できるようになる点だ。Kilroy氏によれば、どちらのプロセッサファミリにもCSIが採用されるという。このことは、両方のプロセッサに対応したサーバを開発しているUnisysのような企業には特にありがたい話だ。両方の機種で共有できるモジュールを開発すれば、開発コストの削減や開発期間の短縮につながるからだ。
Unisysの企業向けサーバ担当ディレクター、Mark Feverston氏は次のように語っている。「CSIのおかげで、必要な技術の数を絞り込み、統合と標準化をさらに推し進めることができる。共通部分の多いプラットフォームを利用することで、同じソリューションを今までより経済的に開発できるようになる」
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