このRoadrunnerシステムとProtein Explorer、そしてSun Microsystemsが開発し、速度ランキングの第7位につける東京工業大学のスーパーコンピュータ「Tsubame」には、スーパーコンピュータの分野で最近起きている新しい傾向が見られる。この傾向とは、汎用プロセッサと特殊用途向けのアクセラレータチップを組み合わせるというものだ。
Tsubameシステムが採用するアクセラレータを販売する新興企業ClearSpeed Technologiesの最高技術責任者(CTO)John Gustafson氏は、「Roadrunnerではアクセラレーション技術が重視されている。このデザインにはコプロセッサアクセラレーション機能が備わっている」と述べる(なおGustafson氏は、IBMが落札した今回の設計ではなくRoadrunnerプロジェクト全体に言及していると述べている。同氏はIBMの設計については情報をもっていないという)。
IBMのBladeCenterシステムでは、ハイブリッドのアプローチが採用されおり、1つのシャーシに、OpteronブレードサーバとCellベースのアクセラレータシステムの両方を収容できる。BladeCenterのシャーシにはサーバ間の高速通信を実現する機能が搭載され、Roadrunnerにはこのブレードが使われると、情報筋は語っている。
Advanced Micro Devices(AMD)のOpteronプロセッサは、高速ネットワークで接続された多数のマシンで分散して計算処理を行う、クラスタ型のスーパーコンピューティングシステムに利用される。Roadrunnerでは、IBM、ソニー、東芝の3社が共同開発したCellプロセッサが特殊用途向けアクセラレータの役割を果たす。
Cellは当初、PLAYSTATION 3のパフォーマンスを向上させる目的で設計された。同チップは、メインプロセッサコア1基と8基の特殊用途向けエンジンで構成されており、これらが仮想世界の物理シミュレーションなどの計算を支援する。これらのエンジンは科学計算処理にも対応すると、IBMは語っている。
Gustafson氏によると、アクセラレータを利用すると、コンピュータが一定の電力量で実行できる処理量が「劇的に増加する」という。
「従来のマイクロプロセッサを高性能コンピューティングエンジンとして使い続けると、大量のエネルギーが無駄になる。ペタフロップ級の処理量になってくると、OpteronやIntelのXeonといった従来のx86プロセッサを使った場合の消費電力は膨大になる」と同氏は語っている。
「電源を入れっぱなしにすると年間電気使用料は1ワットあたり約1ドル。システムが年間1000万ワットの電力を消費すれば、経費が1000万ドルかかる」とGustafson氏は語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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