Red HatのJBoss部門でゼネラルマネージャーを務めるMarc Fleury氏が、Oracleが独自のLinuxディストリビューションをリリースするという噂はあくまでも噂であって、現実味はないと述べた。
Oracleの最高経営責任者(CEO)Larry Ellison氏は、先ごろ行われた2件のインタビューの中で、同社が独自のLinuxを提供するのではないかと思わせるような発言をした。8月初めに開催された「LinuxWorld」で何らかの発表が行われるという憶測も飛び交ったが、結局そうしたことはなかった。
Fleury氏もブログ投稿の中で、Oracleが独自のLinuxディストリビューションをリリースすることはないと断言している。この件については、ウォール街の投資家からも再三質問されたそうだ。
Oracleが独自のディストリビューションを提供するとなれば、開発およびサポートに膨大な時間とリソースが必要になるだろうと、Fleury氏は指摘している。
また、「Red Hat Linux」に対抗しようにも、Red HatはRed Hat Linux上での動作がすでに保証されているアプリケーションを大量に所有しており、その優位は揺るがないという。Red Hatの独走が続くだろうと、Fleury氏は述べた。
「ナッシュ均衡が保たれているのが、現在の状況なのだと考えている。戦略を変更することで何ら利益が得られない性質の戦略が組み合わせられ、誰もその戦略を変更しない状況をナッシュ均衡と言う。もっとわかりやすい言葉で言い換えれば、『だれも動かなければ、だれも傷つかない』ということだ」(Fleury氏)
8月に入り、Oracleのテクノロジマーケティング担当バイスプレジデントRobert Shimp氏に、同社のLinux提供に対する意向を尋ねたところ、すでにOracleはRed Hat Linuxの直接サポートを顧客に提供しており、1社のベンダーが多数の製品を提供するスタイルにこそ意味があると話していた。
Ellison氏の発言については、オープンソース企業と買収に関する話の流れの中で口にされたものだと、Shimp氏は説明した。「GNU General Public License」のおかげで、OracleはLinuxをサポートするためにオープンソース企業を買収しなくて済んでいるという意味だったそうだ。
「Ellison氏は、単に買収に対する考えを述べたに過ぎない」(Shimp氏)
ちなみに、JBossの前CEOであるFleury氏は、ある時点でEllison氏と会談していたことを、ブログ記事の中で認めている。Red Hatに買収される以前は、OracleがJBossを取得するのではないかという噂が立っていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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