ワシントン州レドモンド発--Steve Hassenplug氏に眠っている暇はないに違いない。
インディアナ州ラファイエット在住のソフトウェアエンジニアであるHassenplug氏は、Legoの「Mindstorms NXT」開発者プログラムのメンバーで、筋金入りのLego好き人間が集まったチームの中でさえ、発明のためなら寸暇を惜しまない人物として知られている。
そのHassenplug氏は、米国時間7月24日にMicrosoft本社で開催されたMindstorms NXT紹介イベント「Big Robot on Campus」に、Bluetoothによる通信機能を持ち3つの車輪で移動するリモコン式の小型ロボット「Omni」を伴って登場した。OmniはHassenplug氏がイベントの前日に組み立てたもので、Microsoft側との打ち合わせの最中、人の足や家具の間を縫うようにして広い会議室の中を動き回った。
Legoのロボットプログラマーたちは今、米国中を飛び回り、同社のプログラム可能なロボット開発キットMindstorms NXTの最新バージョンを披露している。そして、ツールキットの「Microsoft Robotics Studio」を使って作られたソフトウェアが他のシステムにも容易に使えることをアピールしたいMicrosoftが、今回のイベントのホスト役を買って出たわけだ。
ソフトウェア界の巨人Microsoftも、Legoには強い思い入れがあるようだ。
Microsoftで6月に始まったばかりのロボット工学イニシアティブを手がけるMicrosoft Robotics Groupのゼネラルマネージャー、Tandy Trower氏は「Legoは、このプロジェクトを開始するきっかけとなった要因の1つだ」と語る。今から数年前、Trower氏自身がどんなグループを作ろうかと構想を練りはじめたばかりのころ、Legoはすでに、Microsoftに対してMindstorms NXT計画のことを話していたという。
Microsoftは、自社のロボット工学ツールキットであるMicrosoft Robotics Studioが、今後より多くの人にロボットに関心を持ってもらうための革新的な第一歩と受け止められることを期待している。このキットは、単純なロボットから大がかりな産業用プロジェクトまで、どんなものの設計にも応用可能だ。Trower氏は、ロボット工学の現状をパーソナルコンピュータの初期の時代にたとえる。それが「さまざまな創意工夫が生きる」ことを意味するのなら、Hassenplug氏もうなずくことだろう。
Omniを操作するリモコンの電波の到達範囲を聞かれて、Hassenplug氏は「この部屋の中なら隅々まで問題なく届くはずだ」と答えた。そして実際、カスタムメイドのリモコンのスイッチにほんの数回触れただけで、Omniは数十人の靴をよけ、部屋の奥へと移動していった。
現在、Legoではオープンソース化されたMindstorms NXTプログラム環境を他社の技術やソフトウェアと統合した場合の例を披露している。Mindstorms NXTプログラムは、組み合わせることで無限にプログラムが可能な「ブリック」を基本単位としている。あの特徴的なLegoのプラスチック製ピースを使って作られたロボットなら、どんなものにでも組み込め、非常に基本的なロボットからかなり複雑なものまで製作可能だ。しかも、NXTプログラムは8年ぶりとなる大規模なアップデートを控えている。
ユーザーにとって、Mindstorms NXTの持つ大きな魅力の1つはBluetoothに対応している点だ。Bluetoothを使えば、自分の作ったロボットを無線であらゆる方向に制御できる。23日にHassenplug氏がMicrosoft本社でOmniを操った際も、この機能が使われていた。
しかし、おそらくさらに印象的だったのは、MicrosoftのWindows Mobile部門に属するソフトウェア開発者のBrian Cross氏のデモンストレーションだったはずだ。同氏は、自ら製作したMindstorms NXTロボットについて、いかにして複数のワイヤレスプロトコルを組み込んだかを説明した。
「WiMo」と名付けられたCross氏のロボットは、簡単に説明すると小型のモバイルロボットにWindows Mobile対応の携帯電話をくくりつけたものだ。ロボットの動作はPCからワイヤレスで制御されており、PCはWi-Fi経由で指示を携帯電話に送信する。その携帯電話が、Bluetooth経由で動作の指示をロボットに伝えるという仕組みだ。
Cross氏がデモの準備を整えると、携帯電話から「準備できました」と、いかにもロボットらしい機械的な声が聞こえた。「こんにちは。わたしの名前はWiMo。これから実演を行います」
また、今回のイベントにおいてMicrosoftが出展したのは、Cross氏のロボットだけではなかった。
Microsoftからの出展者は何台かのロボットを持ち込み、Internet Explorerを使ったブラウザダッシュボードからコントロールできるよう、システムを準備した。
すると、テーブル上の3体のロボットが突然、一斉に動き出した。ロボットは後ろ向きにしか進めないようだったが、テーブルの縁ぎりぎりまで進み、今にも落ちそうなほどだった。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」