独ハノーバー発--IBMは先週、1平方インチ当たり1テラビット以上のデータ密度を実現可能な記憶装置のプロトタイプをCeBitで発表した。
IBMによると、今回発表されたMEMS(micro-electrical-mechanical system)のプロトタイプは、DVD25枚分の情報を切手1枚分のサイズに記録できる密度をもつという。
スイスのチューリッヒにあるIBM研究所では、今回発表したデバイスを「Millipede」(ヤスデの意)と呼んでいる。この名称は、MEMSが、薄いポリマー膜にビットを表す「穴」を開けるためのアーム型装置を何千も持っていることに由来する。Millipedeではこのアーム型装置を使用しながら、ポリマー膜に直径約10ナノメートルの穴を開けることで、データを記録する。これは、原理的にはコンピュータ草創期の「パンチカード」という古いデータ処理技術と同様だが、Millipedeではデータの消去と上書きができるとIBMは語っている。
「素晴らしいのは、1つのMillipedeで、60万枚分のデジタルカメラ画像を切手大のスペースで記録できる点だ。小型デバイスでデータを大量に保存するため方法としては、新しくかつ現実的だ」(IBM広報)
Millipedeは、6.4mm四方の範囲のなかに4000以上のアームを備える。情報の買い込みはアーム型装置の先端部を加熱して、ビットのパターンをポリマーに型押しすることで行われる。
IBMは2002年にMillipedeの取り組みを発表している。また、Hewlett-Packard(HP)も、データを大量に保存できる極小メモリーチップを開発中である。HPは先週、CeBitにおいて、ポリマーとアームの動きを写したビデオ顕微鏡を使いながら、チップ構造に関するデモを行った。
IBMは、同技術の用途として、デジタルカメラや携帯電話、USBメモリなどのモバイル機器を挙げている。しかし、Millipedeはまだ研究段階にあり、利用可能になるのは少なくとも2年後であろう。
「消費者が利用可能になるのはまだ先の話で、2〜3年の内に市場に出す計画は無い」(IBM)。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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