Microsoftは、Windows XPをプレインストールした新型PCの堅調な売上に喜ぶ一方で、大企業における同OSの普及率の低さには満足していない。
同社のグループバイスプレジデントKevin Johnson(ワールドワイド・セールスおよびマーケティング担当)は、先日行われたCNET News.comとのインタビューで、「導入の進み具合に関しては、期待通りとは言えないと思う」と語った。
コンピュータセキュリティベンダーのSecureMethodsではMicrosoft製品を利用しているが、同社の幹部は、Windows XPにはアップグレードに要する手間とコストを正当化するだけの中身が足りない、とその理由を説明している。SecureMethodsでは、Windowsの最新バージョンを利用するために全社レベルでライセンス使用料を支払う代わりに、新規購入したPCをインストールされているOSをそのまま使っている。
同社CTO(最高技術責任者)のPaul Clarkは、「われわれがコンピュータをアップグレードすることはほとんどない」と語り、PCの耐用年数は3〜4年だと付け加えた。「新しく購入したラップトップPCがXP搭載だったら、それは結構なことだと思う。だが、それだけのことで、特に(新しい)ライセンスを購入したりはしない」(Clark)
現在全世界で90%以上のPCにWindowsが搭載されているが、Microsoftは以前から最大のライバルは自社製品のユーザーだと考えてきた。つまり、顧客に新しいOSが必要なことを納得させるのは非常に難しいということだ。Windows XPの場合は特にこの点が顕著で、Jupiter Researchによると、発売後2年半を経過した今でも、5000万ドル以上の売上規模の企業では、約62%しかXPを導入していないという。
さらに、12月に実施された調査では、80%の企業がWindows 95もしくはWindows 98の動作するマシンを今でも使い続けているとの結果が明らかになった。また、技術コンサルティング会社のAssetMetrix によると、古いオペレーティングシステムを使っている企業では、平均39%でWindows 95もしくはWindows 98が動作しているという。
Microsoftにとってさらに厄介なのは、XPを導入するライセンスを既に購入している法人の多くが、依然として様子見を続けているという事実だ。「企業顧客がライセンスを持っていないというわけではない」(Johnson)
Microsoftはサーバ分野でも同様の問題に直面しており、顧客の多くが旧バージョンのOSを今も使い続けている。アナリストの推定のなかには、Windowsサーバのうち最大40%のマシンで、Microsoftの二世代前の製品であるWindows NT 4がいまも動き続けているとするものもある。
Microsoftにとって、最新製品を導入する企業を増やすことは、すでにライセンス料を手にしているかどうかとはまた別の重要な問題である。
「マイクロソフトでは、スポーツクラブのビジネスモデルは成り立たない。つまり、会員権を売ればそれで十分で、後は利用されないほうが助かる、というわけにはいかない」とJupiter Research アナリストのMichael Gartenbergは指摘している。「Microsoftが将来にわたって成功を続けていくためには、ユーザーに手持ちのライセンスを使わせて、最新製品にアップグレードさせなくてはならない」(Gartenberg)
もしそれがうまくいかなければ、企業ユーザーは、それ以降新しいライセンスを購入しなくなる、とGartenbergは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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