米Microsoftの.Net用プログラミングツールの、オープンソース版の登場を待ちわびる開発者や法人顧客は、もう少し長く待たされるようだ。
米Novellによると、開発者がLinuxやUnix向けに.Netアプリケーションを開発できるようにするMonoプロジェクトの最初のバージョンは、2004年第2四半期の登場になるという。同社は、今年初めにオープンソースソフトメーカーの米Ximianを買収し、Monoプロジェクトのオーナーとなっている。
プログラマーのMiguel de Icazaが2001年に始めたMonoプロジェクトは、Ximianの支援をを受けながら、オープンソースのプロジェクトとして進行している。de Icazaは約1年前、Monoの最初のバージョンを2003年末までにはリリースすると話していた。
Novellはさらに、Monoの将来のバージョンではLinuxやUnix向けの.NetアプリケーションのGUI構築ツールを開発者に提供していくと語った。
Microsoftの.Net用開発ソフトには、プログラミングツールと、.Net Frameworkが含まれている。.Net Frameworkとは、Windowsマシンにインストールされた、.Netアプリケーションの実行に必要となる基本ソフトウェア部品群を指す。Monoプロジェクトでは、.Netの公開仕様を利用して、LinuxやUnix向けの環境を再現している。
NovellのCEO室付きバイスプレジデント、Chris Stoneは米国時間18日に声明を発表し、「デスクトップLinuxは、ITの購入を検討しているますます多くの企業にとって、現実的な選択肢となりつつある。開発者が成功を収めるためには、生産性の高い開発環境、安定したAPI、そして明確な技術ロードマップが必要だ」と述べている。
Microsoftの計画と密接にリンクしているMonoの開発計画は、NovellがMicrosoftに対して直接の競合相手となったため、大きな注目を集めている。Ximianに続き、今月初めにはLinuxディストリビューターのSuSE Linuxを買収したNovellは、この買収を通してオープンソース分野で有力な存在となっている。
Novellは、Microsoft製ソフトウェアに取って代わるオープンソース製品を提供する戦略を採用している。しかし、RedMonkのアナリスト、Stephen O'Gradyによると、MonoはMicrosoftの.Net開発製品群にとっても、Javaベースの開発製品にとっても、短期的には大きな脅威にならないという。
「Monoの狙いが、.Netの持つアドバンテージをオープンソース陣営の開発者に与えることにあるのははっきりしている。だが、こうした開発者はふつうMicrosoftのことをひどく毛嫌いしているものなので、そんな連中を説得してMicrosoft関連の取り組みに参加してもらうことは、たとえそれがオープンソースのプロジェクトであっても、並大抵の困難では済まないだろう」(O'Grady)
「私の考えでは、Novellは企業マーケット、特にJavaで痛い目に遭っているところや、またはMicrosoftの技術に深入りするのを懸念している.Net開発者に食い込もうとするだろう」とO'Gradyは付け加えた。
Monoのバージョン1.0には、MicrosoftのC#言語を使ってコードを書く開発者向けのコンパイラーが含まれると予想されている。Monoのツールキットは、Intel互換のx86系マシンおよびPowerPCベースのプロセッサを積んだマシン上で走る、UnixまたはLinuxのアプリケーションを生成するよう設計される。
Monoの最初のバージョンは、Microsoftの.Net 1.0および.Net 1.1と互換性を持つものになる予定で、また2004年第4四半期の完成を目指すMono バージョン1.2は、GUIベースのアプリケーションをつくるための追加のライブラリを含み、.Net 1.2の機能もいくつか含むものになるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」