[22日午前10時45分更新] Microsoftは米国時間21日、Windows Vistaの開発に遅れが出ていることから、この新しいオペレーティングシステムを搭載するPCの発売は2007年1月以降になると発表した。
Microsoftによると、同社はVistaの開発を今年中に終了し、ボリュームライセンス購入顧客には11月に提供する予定だという。しかし、Vistaの開発スケジュールに数週間の遅れが出ていることから、今年中に新OS搭載PCを発売できるメーカーとそうでないメーカーが出ることになりかねないため、同社はVistaの大規模な投入を来年1月まで延期することにしたと、Windows責任者のJim Allchin氏は述べた。
「われわれはもう2、3週間時間を必要としたが、そのことから不確実な状況に置かれることになった...一部のパートナーが他のパートナーよりも大きな影響を受ける可能性が生じた」と、Allchin氏は報道関係者とアナリスト向けの電話会議のなかで語った。
この遅れは、Vistaにとって最新の後退となる。Microsoftは昨年、Vistaを2006年中に確実に投入するため、いくつかの重要な機能の縮小や、搭載を見送る決定を下していた。Microsoftは何年もかけてWindows Vistaの開発を進めてきているが、その遅れの原因の1つは、同社が「Windows XP Service Pack 2」の開発やテストに多大な時間と労力をとられたことにある。
Allchin氏によると、Vistaの出荷延期を望む声はPCメーカーによって異なっているという。また、一部の企業からは、Microsoftがたとえわずかでも開発スケジュールを遅らせた場合、新型PCの発売が年末商戦期を含む第4四半期に間に合わなくなる可能性への懸念が出されたという。
これまでアナリストの間からは、Microsoftのスケジュールにほとんど余裕がなかったことから、第4四半期中の出荷を危ぶむ声が上がっていた。
Allchin氏はこの1月にも、Microsoftが2006年の締め切りを守れると自信を見せていた。ただし同氏は、品質に問題があれば再び投入を延期することはあり得ると繰り返していた。
Vistaの投入延期によって、一般ユーザー向けにPCを販売するメーカー各社が最も大きな影響を受ける可能性が高いと、NPD Techworldの業界アナリスト、Stephen Baker氏は言う。Dellはほとんどの製品を直販しているため、2〜3週間程度の遅れなら、それほど大きな問題もなく対応できる可能性がある。一方、Hewlett-PackardとGatewayは、製品の発売よりも何週間か前に小売りパートナーに向けて製品を出荷しなければならないことから、すぐには切替を行うことはできないと、同氏は述べた。
Baker氏は、Vista投入の遅れが第4四半期のPC売上に与える影響について尋ねられると、「おそろしく大きい」と答えた。PC業界が1年のうちで最も大きな売上をあげるのは、年末商戦期を含む第4四半期で、今年はVistaの登場が見込まれていたことから、同四半期への期待も例年になく高まっていた。
Microsoftでは、Vista投入の延期によって今年のPCの売上全体に影響が出るとは見ていないとAllchin氏は述べた。
「われわれのPC販売台数予測に変化はない。もちろん、パートナー各社の考えを尋ねることもできる」(Allchin氏)
Allchin氏はまた、Vistaが同社の次会計年度(7月はじまり)内に投入されることから、Microsoftの次年度のビジネス全体にも影響はないはずだとした。
Allchin氏は、開発に遅れが生じた理由の一部として、セキュリティレベルの確保に時間をとられたことを挙げ、また同社がユーザビリティ関連の問題解決に取り組んでいることも明らかにした。
「われわれは、これまでなかったほどセキュリティのレベルを高くしようとしている」とAllchin氏は述べ、「このために2、3週間時間がかかった。われわれはその点について責任ある行動をとろうとしている」とした。
Microsoftは2月に、Vistaの最新テスト版を公開した。また、同月にはVistaの6種類のEditionを用意する計画も発表していた。
Allchin氏はこの日、Microsoftが第2四半期にVistaの大規模なテストバージョン公開を予定していることも明らかにした。この新しいテスト版は約200万人のユーザーに配布される。
Microsoftはこれまで、今年後半に予定されていたVistaとOffice 2007の発売に向けて、大規模なマーケティングキャンペーンを行いたいと考えていた。同OSの投入延期がこれらの計画にどう影響するかは、現時点では明らかになっていない。
なお、Allchin氏(正式な肩書きは、同社プラットフォーム、製品、サービス部門共同社長)は今年中に同社を退職することになっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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