2006年末までに「Windows Vista」の投入を目指すMicrosoftが、同OSのテストスケジュールを変更した。
同社では、「Beta 2」と呼ばれる正式なテストバージョンを用意するかわりに、今年複数のテスト版を順次投入していくことになった。これには、バージョンごとに特定のユーザー層からフィードバックを集める狙いがあると、Windows部門トップのJim AllchinがCNET News.comとのインタビューのなかで明らかにした。
現行の「Community Technology Preview(CTP)」プログラムの改訂版は今四半期中にリリースされる予定だが、Microsoftではこれを企業向けのテストバージョンにしたい考えだ。同社は12月に次のCTPは2月を目標にリリースすると述べていた。
同社は次の四半期に「顧客プレビュー(customer preview program:CPP)」をリリースし、早期導入を考える一般ユーザーに対してVistaに触れるための機会を提供する。ただし、Microsoftは同バージョンの対象範囲をまだ明らかにしていない。
近々登場するCTPとCPPは、12月に出されたCTPと同様、どちらも「Beta 2」になる。
Microsoftでプラットフォーム/製品/サービス部門担当の共同社長を務めるAllchinは、同社では必要な機能すべてをVistaに組み込み済みで、最近のテストバージョンには主要機能がほぼすべて搭載されていると述べた。しかし、そろっている機能がすべて最終的な形でテストされているわけではない。
「顧客が目にしているのは開発途中の製品だ。まだバグが大量に残っている」(Allchin)
Microsoftが頻繁にCTPをリリースするのは、今回のVistaが初めてとなる。これには、わずか1〜2回のベータリリースしかないスケジュールのプロセスよりも早い段階で、より多くのフィードバックを得ようという狙いがある。
同社では当初、CTPを毎月リリースする計画だったが、その頻度を減らすという判断を12月に下した。
Allchinによると、テストの対象範囲を変更してもVistaの出荷が目標期日に間に合わない可能性はあるという。
「年内に広範囲に投入できる好感触はまだある」とAllchinは語ったものの、同製品がまず一定の品質基準を満たす必要があることを重ねて強調した。「開発チームが品質に関する問題に遭遇した場合、私が製品投入を延期するだろう」(Allchin)
調査会社IDCのアナリスト、Al Gillenは、Vistaの開発スケジュールは非常に厳しい状態にあるが、それでもMicrosoftには、2006年の年末商戦期に販売されるPCにVistaを搭載するという目標を達成できるだけの時間はあると述べている。
「Microsoftは8月か遅くとも9月までにはVistaの開発を完了させる必要がある。9月の中旬か末までに『ゴールド』リリースの段階になければ、投入の機会を逸するかもしれない」とGillenは述べている。「ゴールド」リリースとはコンピュータ業界用語で、開発の完了したソフトウェアをCDに記録し、PCメーカー各社に発送できる状態のことを指す。
同時に、この締め切りに間に合わなければ年末商戦期に間に合わないという事実が、Microsoftが集中力を維持する上で役に立つはずだ。「これは大きな動機付けになる」(Gillen)
ちなみに、2001年10月に発売されたWindows XPの場合、ベータ2がリリースされたのは同年3月のことだった。
Vistaについては、必要とするハードウェアの具体的な仕様や、どのバージョンが販売されることになるかなど、いくつかの重要な点に関する決定がまだ一般には公表されていない(Windows XPでは、標準バージョンとして、「Home」「Professional」「Media Center」「Tablet PC」の各エディションが用意された)。Allchinによると、同社はVistaの一部として「Tablet PC」や「Media Center」の機能を提供する予定で、これらを個別に用意することはないと語った。
Microsoftは以前、同社の企業向けボリュームライセンスプログラムの一部として、VistaのEnterprise Editionを提供すると述べていた。また、同社はVistaの「Ultimate Edition」発売についても検討しているが、これは企業向けバージョンと消費者用バージョンの最良の部分を組み合わせたものになる。そのほか、小規模企業向けバージョンや、さらに一般的な家庭や企業向けの各バージョンが出される可能性もある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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