サンフランシスコ発--顧客を特定の技術サプライヤーに縛り付けるプロプリエタリな製品を嫌うコンピュータ利用者が増えている、とRed Hatの最高経営責任者(CEO)Matthew Szulikが米国時間26日に語った。
「顧客は束縛されることを嫌っている。1〜2社の企業に首根っこを押さえられて身動きが取れなくなるのは、うんざりだと顧客は言い始めている」と、当地で開催されたVORTEX 2005カンファレンスのパネルディスカッションの中で、Szulikは述べた。
Red Hatは、オペレーティングシステム(OS)のLinuxを主に販売しているが、Javaプログラムを使用するためのアプリケーションサーバや、デジタルアイデンティティ管理のためのディレクトリソフトウェアといった上位アプリケーションへの移行を進めている。ただし、そのような動きの中でも「オープンソースのみ」を扱うという姿勢は維持している。
「上位アプリケーションの分野にはチャンスがある。『OpenMQ』は素晴しいプロジェクトだ」と、IBMの「WebSphere MQ」やMicrosoftの「MSMQ」に対抗する、未発表のオープンソースのサーバメッセージングソフトウェアについて、Szulikは言及した。「顧客は、5〜7年前に導入したメッセージングソフトウェアがスケーラブルでない可能性があることに気付き始めた」(Szulik)
Red Hatは、Linuxと関連オープンソースソフトウェアの販売でかなりの利益を上げている。例えば同社は前四半期に、6570万ドルの売上高と、1670万ドルの利益を計上している。同社は最大のライバルであるNovellのSUSE LINUXを超えるシェアを獲得しており、MandrivaやTurboLinuxなどの他社はRed Hatの勢いを抑えられずにいる。しかし、Szulikは、Red Hatには束縛力は無いし、持とうとも思っていないことを強調した。
「(顧客を)支配するのが企業にとって好ましいこととは思わない」とSzulikは言う。むしろ、「われわれはリーダーだと思われたい。顧客に喜んで買ってもらえるような技術を、他社に先駆けて次々と提供するような存在になりたい」と語った。
また、Red Hatは透明度の高い製品開発を心がけている。例えば、Fedoraの現行バージョンを見れば、Red Hatの「Enterprise Linux」の次バーションがどのようなものになるかの見当がつく。
コンピュータ関連業界の企業にとってオープンソースソフトウェアの受け入れは容易ではない。オープンソースのプログラマは企業がオープンソース受け入れにさほど真剣ではないことに気付くだろうと、Szulikは言う。「オープンソースが機能するためにはオープンソースの考え方がその企業文化のDNAに入っていなければならない。真剣みの無さは、会話やいい加減な対応を見れば誰にでも分かる」(Szulik)
Red Hatの真価の一部は、オープンソースソフトウェアの混沌とした世界から何か有用なものを提供することだ。しかしそこには限界があるとSzulikは述べる。「誰も、Red Hatでさえも、オープンソースモデルを支配していない。この世界では一番良い考えが勝ち残る」(Szulik)
1つ、オープンソースソフトウェアが普及していない分野がある。それはパーソナルコンピュータの分野で、Red Hatは、コールセンターでコールを担当者に振り分けるソフトウェアなど、比較的狭い範囲の顧客を対象とした製品のみを用意している。デスクトップ用のLinuxはなかなか普及しにくいとSzulikは述べる。
「デスクトップの世界はティーンエイジャーのセックスみたいなもの。口先ばかりで、本当は誰もセックスなんてしていない」(Szulik)
OutlookやExchangeなど、深く根を下ろしているMicrosoftの「古い」アプリケーションを押しやるのは困難だと同氏は述べる。特に米国や日本では、MicrosoftのSoftware Assuranceライセンスプログラムというものがあり、顧客には数年間にわたりソフトウェアの更新が提供される。同氏は、このプログラムを使ってMicrosoftは「顧客を一定期間、囲い込んでいる」とSzulikは言う。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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